2018年6月に発表された最新のスーパーコンピュータランキング「TOP500」でも、高速なコンピュータを作りたければ、最高のOSはLinux系であることが再び証明された。ランキングに挙がったすべてのマシンがLinux系OSで動作している。
Linuxがスーパーコンピューティング業界の主流になってから、もう何年も経つ。しかしすべてがLinuxになったのは2017年11月であり、つい最近のことだ。TOP500にランクインしたすべてのスーパーコンピュータがLinuxになったのは、このときが初めてだった。それまでは、UNIXの一種である「IBM AIX」がリストの下位にぎりぎりで残っていた。
今後もスーパーコンピューティング分野におけるLinuxの支配が続くことには、疑問の余地はない。これは単純に、競争そのものが存在しないからだ。
あるとすれば、Red HatなどのLinux企業間の競争だけであり、これはLinuxが君臨し続ける助けになるだろう。Red Hatは新たに首位を奪った米エネルギー省オークリッジ国立研究所の「Summit」を支援しており、このスーパーコンピュータでは、すべてのリソースを高速かつスムーズに利用するため「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)が使用されている。
ただし、ハードウェアについてはまた別の話がある。今回は、アーキテクチャのトレンドに大きな変化が見られた。
最新のTOP500ランキングでは、新たに増えた計算能力の56%がNVIDIAのGPU「Telsa」によるものだった。新たなチャンピオンであるSummitでは、IBMのCPU「Power9」2基とNVIDIAのGPU「Tesla V100」6基で構成された基板が使われている。NVIDIAによれば、Summitのピークパフォーマンス(187.7ペタフロップス)の95%が、2万7686基のGPUによって生み出されているという。
NVIDIAは、SummitよりもGPUへの依存度が低いが、世界で3番目に高速なスーパーコンピュータである「Sierra」(LINPACKによるベンチマークで71.6ペタフロップス)についても数字を出している。Sierraでは、デュアルソケットのPower9のノードに(6基ではなく)4基のTesla V100を搭載した基板が使用されている。それでも、使われているGPUの数は1万7280基に及び、システムのパフォーマンスの大部分はGPUによるものだ。
このLinux優位とGPUの重要性の拡大という2つのトレンドは、今後も強まっていくだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。