米エネルギー省は米国時間6月8日、200ペタFLOPSという性能を誇るスーパーコンピュータ「Summit」を発表した。なお、1ペタFLOPSは1000テラFLOPS、すなわち毎秒1000兆回の浮動小数点演算を実行できる性能だ。この性能をもってすれば、現在のところ中国が優位となっている世界の最高性能スパコンランキングで首位の栄冠を勝ち取れるはずだ。
Summitはオークリッジ国立研究所(ORNL)に設置されており、人工知能(AI)分野などでの利用を想定している。同スーパーコンピュータの設計にあたってIBMは、同社の「POWER9」プロセッサとNVIDIAのGPUを組み合わせた新たなヘテロジニアス(異種混在)アーキテクチャを作り上げた。Summitはおよそ4600のノードで構成されており、各ノードにはNVIDIAの「Tensor Core」技術を活用した同社最新のGPUアーキテクチャ「NVIDIA Volta」を採用した「NVIDIA Tesla V100 Tensor Core GPU」が6基搭載されている。つまり合計で2万7000以上のGPUが用いられていることになる。
世界最速のコンピュータランキングで米国のスーパーコンピュータが前回トップを飾ったのは「Titan」であり、それは2012年にまでさかのぼる。そのTitanも有しているORNLによると、Summitの計算性能は1万8688ノードのTitanに比べると5倍以上だという。
Summitは高エネルギー物理学や、新素材の発見、ヘルスケアといったさまざまな分野での研究に利用されるという。
ORNLにおける国立計算科学センターの責任者であるJames Hack氏は声明に「Summitは、より強力なコンピューティングパワーと、より大容量のメモリ、高効率なファイルシステム、それらすべてを連携させる高速なデータリンクを実現することで、GPUを活用したコンピューティングを新たなレベルに進化させている」と記すとともに、「これにより研究者らは、前世代のスーパーコンピュータシステムを用いる場合に比べると、より複雑な現象を、より短時間で、しかもより高い精度で調査できるようになる」と記している。
提供:Carlos Jones, ORNL
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。