ニュータニックス・ジャパンは6月28日、5月上旬に米国ニューオリンズで開催した年次イベント「NUTANIX .NEXT Conference 2018」で発表した新製品とサービスの詳細に関する記者説明会を開催した。
ニュータニックス・ジャパン コーポレートマネージング ディレクター兼社長の町田栄作氏
まずコーポレート マネージング ディレクター兼社長の町田栄作氏が、事業概要について説明した。同社はHCI(Hyper-Converged Infrastructure)のイメージが強いが、町田氏の説明では「ハイパーコンバージドインフラストラクチャーのパイオニア」という点を押さえつつも、今は「エンタープライズクラウド カンパニー」という点が前面に打ち出された。「ソフトウェアの会社/クラウドOSの会社」であり、「ハードウェア製品の売上比率は20%以下」(町田氏)と強調する。
グローバルの事業動向は、1年前との比較でユーザー企業数が約6200社から約1万社に増加する一方、Forbes誌の「Global 2000」にリストアップされる企業のうち同社ユーザーは約700社にとどまっているため、まだ成長余地が大きく残されている点と指摘した。
国内およびグローバルの事業概況
また、国内の状況としては、“ハイパーバイザのコモディティ化”として同社が追加コストなしで提供するエンタープライズ対応ハイパーバイザ「AHV」の活用状況を見ると、グローバル全体ではユーザーの約33%が導入し、日本はこの数字をやや上回るものの、韓国では95%、中国やインドでは約80%だという。日本はやや保守的な印象を受けるが、国内の地域に限定すると、名古屋以西では55%のユーザーが導入しており、東西格差も大きいという。
なお米国ユーザーの約25%が政府関連で、そのうちの約74%がAHVを活用している。マルチクラウドプラットフォームとして同社製品を捉える場合、“コモディティ・ハイパーバイザ”としてのAHVの活用度合いが、同社製品からどれほど大きなメリットを引き出しているのかが指標となるようだ。
ニュータニックス・ジャパン シニアソリューションアーキテクトの鈴木孝規氏
シニアソリューションアーキテクトの鈴木孝規氏は、.NEXT Conferenceで発表内容に触れた。注目されるのは、「Nutanix Beam」「Nutanix Era」「Nutanix Flow」の3製品で、Nutanix Beamは、「マルチクラウドのコスト最適化とコンプライアンス」を実現するSaaSサービスで、買収で獲得したMinjarのBotmetircサービスをベースとしている。以前から提供されていたNutanix Calmはアプリケーションの自動化機能に特化する形で機能整理し、Beamと共存する形になる。
Nutanix Eraは、「データベースをシンプルに」を標榜するPaaSのデータベースサービスとして提供される。当初は、Oracle(11.2.0.4/12.1.0.2)とPostgreSQL(9.6/10.3)をサポートし、将来的に他の普及しているデータベースにサポートを拡大することも計画しているという。データベースの運用管理を簡素化し、特に、スナップショットとトランザクションログを組み合わせることで、データベースの状態を任意の時点に復元できる「タイムマシン機能」などが特徴となる。
Nutanix Flowは、以前に“マイクロセグメンテーション”として発表されていた機能が強化させ、正式リリースされたものとなる。従来型のファイアウォールによる境界型セキュリティではカバーできない、いわゆる“East-Westトラフィック”におけるセキュリティを確保する。Nutanix Flowは、Acropolisソフトウェアに完全統合して提供され、Acropolisの機能拡張と位置付けられる。
Nutanix BeamとNutanix Flowは既に提供されており、Nutanix Eraは現在一部のユーザー企業によるテスト段階で、2018年下半期中の提供開始を予定している。
マルチクラウドの「シンプルさ」を打ち出す新製品とサービス