本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、ニュータニックス・ジャパンの町田栄作コーポレートマネージングディレクター兼社長と、アマゾンウェブサービスジャパンの梅谷晃宏セキュリティ・アシュアランス本部長の発言を紹介する。
「ハイパーコンバージドの基盤ソフトをサーバ市場に広げたい」
(ニュータニックス・ジャパン 町田栄作 コーポレートマネージングディレクター兼社長)

ニュータニックス・ジャパンの町田栄作コーポレートマネージングディレクター兼社長
米Nutanixの日本法人であるニュータニックス・ジャパンが先頃、事業戦略について記者説明会を開いた。町田氏の冒頭の発言はその会見で、同社が展開するハイパーコンバージドインフラ(HCI)の潜在市場について語ったものである。
NutanixはHCI分野の草分けとして、2011年からシステム製品とともに、今では「Nutanix Enterprise Cloud OS」と呼ぶ基盤ソフトウェアを提供してきた。その基盤ソフトウェアの最大の特徴は、プラットフォームやハイパーバイザーに依存することなく利用できることである。(図参照)
Nutanixの基盤ソフトウェアがプラットフォームと位置付けているハードウェアとしては、IBM、Dell EMC、Lenovo、Cisco Systems、Hewlett Packard Enterprise(HPE)などのハイパーコンバージドシステムがあり、オンプレミス環境だけでなく、Amazon Web Services(AWS)、Google Cloud Platform(GCP)、Microsoft Azureといったパブリッククラウドサービスとも連携させたハイブリッドクラウドの実現を売り物にしている。

図:Nutanixの基盤ソフトウェアの特徴
町田氏によると、HCIを活用したワークロードはかねて仮想デスクトップ(VDI)が中心だったが、ここにきてエンタープライズアプリケーションが増えてきており、今では全体の5割を超える形になっているという。
ただ、成長分野ではあるものの、2016年の国内HCI市場の規模はハードウェアとソフトウェアを合わせて約78億円と、サーバ市場全体の1〜2%にしか過ぎないという。逆に言うと、まだまだ潜在市場は大きく、今後の適用領域の拡大も見込まれるところである。
さらに、同氏が今後最もターゲットに挙げていたのは、1-2ソケットのラックサーバ向けだ。同氏曰く、「サーバの年間販売台数は国内でおよそ50万台と言われているが、1-2ソケットのラックサーバがその半数を占めている状況だ。その領域に当社の基盤ソフトウェアを広げていきたいと考えている。そうすれば、HCIとは異なった新しい市場が生まれてくる可能性もある。そうした面でも大いに期待している」とのことだ。
また、グローバルでは8000社を超える基盤ソフトウェアの導入実績があるが、日本では400社を超えたところだとか。「導入実績において日本は現在グローバルの5%だが、これを早い段階で10%に引き上げていきたい」と、町田氏は決意を新たにしていた。同社の勢いがさらに加速するか、注目しておきたい。