AtlassianはSlackとパートナーシップを結び、リアルタイムコミュニケーション市場から撤退すると発表した。同社はコラボレーション事業に取り組みを集中させる。
この連携はAtlassianの第4四半期業績発表の場で明らかにされたもので、同社の製品「Stride」と「Hipchat Cloud」の知的財産はSlackに売却されるという。両製品とも今後提供が中止される。
また同社は、株主あての書簡で「Hipchat Server」と「Hipchat Data Center」の提供も今後中止する計画であり、(中止された4製品の顧客に向けて)Slackと共同で移行パスを提供すると述べている。さらにSlackへの株式投資を行ったことも明らかにした。
Atlassianは、Slackと提携したことで、今後「Jira Cloud」「Bitbucket Cloud」「Trello」と「Slack」の間の統合が進むと述べている。両社はマーケティング、営業、販売チャネル展開などに関しても連携する。
Atlassianの共同最高経営責任者(CEO)Mike Cannon-Brookes氏は、今回のパートナーシップによって、コミュニケーション事業をSlackに託し、コラボレーション事業に集中することが可能になったと述べている。Cannon-Brookes氏は業績発表の電話会議で、今回のパートナーシップに至った理由を説明した。
わが社は、あらゆる規模の企業のITチームが抱えるニーズを支える事業に力を入れていく。われわれはこれらの企業を「Fortune 50万」と呼んでいる。IT部門の支援はわが社が長年にわたってサービスを提供してきた隣接市場の1つだが、この大きなチャンスには、未だに表面的にしかアクセスできていない。今年は、研究開発投資、パートナーシップ、マーケティングを通じてIT市場に対する比重を大きくしていく。第2に、わが社はSlackと戦略的パートナーシップを結んだという発表を行った。Atlassianは現在、リアルタイムコミュニケーション市場でStrideとHipChatの2つの製品を提供している。わが社は2019会計年度に向けて行った戦略的計画立案の過程で、この市場の規模は大きいものの、わが社が持っているほかの製品や機会と比較すると、この市場で実質的に競争を展開するために必要な追加投資額に比べ、十分な利益を生む可能性が低いと結論した。
このパートナーシップは、AtlassianがこれまでHipchatに大きな投資を行ってきたことや、Strideで新たな形のコミュニケーションを模索するために長い時間を費やしてきた経緯を考えれば、ちょっとした方向転換だ。Strideの大きなセールスポイントは、Slackが抱える欠点であるノイズの問題をシャットアウトできることだった。
しかし大局的な観点から見れば、AtlassianはSlackと同じように「Microsoft Teams」との競合に直面しようとしていた状況だった。またSlackにとっては、Atlassianとパートナーシップを結ぶことで、Microsoft Teamsとの競争を優位に進めることができる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。