本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、レノボ・ジャパン&NECパーソナルコンピュータのDavid Bennett 代表取締役社長と、ソースネクストの松田憲幸 代表取締役社長の発言を紹介する。

レノボ・ジャパン&NECパーソナルコンピュータのDavid Bennett 代表取締役社長
「NECの技術力や高品質のノウハウを世界のレノボグループに展開していきたい」
(レノボ・ジャパン&NECパーソナルコンピュータ David Bennett 代表取締役社長)
レノボ・ジャパンとNECパーソナルコンピュータ(NEC PC)が先頃、記者会見を開き、5月16日付けでレノボ・ジャパン代表取締役社長およびNEC PC代表取締役執行役員社長に就任したBennett氏が経営方針を明らかにした。同氏の冒頭の発言はその際に、「レノボNEC」として目指すべき方向を語ったものである。
Bennett氏はレノボ・ジャパンとNEC PCの社長に就任した理由について次の4つを挙げた。
1つ目は、IT業界においてさまざまな技術革新が起きている中で、業界でも大きなウエイトを占めるPCにはまだまだビジネスチャンスがあると見られること。2つ目は、PC業界のリーダーとして、市場を活性化させる役目を担っていることだ。
3つ目は、レノボNECとしてイノベーションを起こし続けていること。4つ目は、NEC PCが持つ技術力と高品質のノウハウを世界のLenovoグループに展開していけることだ。これをしてBennett氏はNEC PCのことを「秘密兵器」と表現した。冒頭の発言は、この4つ目の内容を取り上げたものである。
その上で同氏は、「レノボNECとして今後もPC業界のリーダーとしての責任を果たすとともに、Lenovoグループとして世界と日本の架け橋役を担っていきたい」と力を込めた。

図:PC業界リーダーとしての実績
Bennett氏はカナダ国籍で1979年11月生まれの38歳。カナダのトロント大学大学院を2004年に修了後、早稲田大学で日本語を習得、学習院女子大学大学院で日本古典文学を学んだ。その後、東京でビジネスコンサルタントとして社会人キャリアをスタートさせ、2007年にAMDへ入社。グローバルおよび地域のセールスにおける要職を歴任し、直近ではコーポレートバイスプレジデントおよびAMDのLenovoアカウントチームのゼネラルマネージャーを務めてきた。ちなみに、妻は鹿児島県出身の日本人で、3人の子供のうち2人は日本で生まれたという。
こうしたユニークな経歴を持つことから、Bennett氏は自身としても「世界と日本の架け橋役を担っていきたい」との意気込みを示した。
同氏はまた、「LenovoグループとはAMD時代からさまざまな関係を築いてきたので、それを生かしてレノボNECがLenovoからしっかりとサポートを得られるようにも尽力していきたい」とも。Lenovoグループのバイスプレジデントも務める同氏だが、日本法人の社長として親会社からのサポートについて言及するのは、そのやりとりに自信を持っているからだろう。非常にやる気に満ちた清々しい会見だった。経営手腕に注目したい。