小売企業はデジタル変革戦略の一環として、パーソナライズ技術を利用している。
英国・ロンドンに本社を置くQubitは、NET-A-PORTER、ColourPop、Ulta Beauty、Farfetch、Vestiaire Collective、Ubisoft、L'OCCITANE en Provenceなどを顧客に持つ、パーソナライズプラットフォームプロバイダーだ。同社がパーソナライズ技術によってオンラインで上げている1週間当たりの売上高は、約6億ドルに達する。
Qubitのサービスを利用している小売企業は、顧客の行動データを収集して、サービスのパーソナライズに利用している。同社は7月に、Salesforceの電子商取引(EC)向けサービス「Commerce Cloud」を統合し、同社のeコマース企業向けデータレイヤの統合を自動化した。その結果生まれた製品が「Qubit Pro」プラットフォームだ。
小売企業は、Qubitのパーソナライズ技術を導入することで、顧客が初めて訪問したのか、長年利用しているのかといった文脈に応じて、基本的なターゲティングや製品のレコメンデーション以上のことを行えるようになる。この技術は、データ収集機能、高度なセグメンテーション機能、パーソナライズ技術を組み合わせたものだ。
Qubitの最高経営責任者(CEO)であるGraham Cooke氏は、「今やeコマース企業は、パーソナライズ技術を『あれば望ましいもの』とは見ていない。利用者と関わる上で必要不可欠のものだと見なしている」と述べている。「われわれは、データドリブンな顧客体験を実現するための先進的な取り組みを行っている企業と協力関係を結んでいる。Qubit Proプラットフォームは、パーソナライズを実現する技術を導入したいCommerce Cloudの顧客にとって、重要な足がかりとなる」
小売企業にとってのデジタル変革
多くの小売企業は、パーソナライズを実現するためにデジタル変革を必要とした。オンラインの利用者が商品を見つけるために、サイト全体を検索しなければならなかったのもそれほど昔のことではない。しかし今では、パーソナライズ技術によって、オンライン上でのブラウジング履歴や過去の購入履歴などのさまざまなデータに基づいて、顧客に商品が提示されるようになった。
Qubitで最高マーケティング責任者(CMO)を務めるLeah Anathan氏は、「これは究極的には、どうやって小売企業の売り上げを伸ばし、市場での競争力を高めるかという問題だ。顧客企業の市場は既に非常に競争が激しく、特に美容業界などはもともと競争が激しい分野だ」と述べている。
Qubitはモバイルコマース向けの「Qubit Aura」という製品も持っている。これは人工知能(AI)を使って利用者が商品を探しやすくするもので、2017年末にリリースされた。Anathan氏によれば、Qubitの顧客企業は、パーソナライズ技術によって売り上げが最大で6%増加したと報告しているという。