NTTデータは8月23日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する「IoT技術を活用した新たなサプライチェーン情報共有システムの開発」の委託先に選定されたと発表した。
同社は、貿易情報連携基盤システムを構築し、2019年1~3月にかけて、北米やアジア向けのコンテナ輸出を対象とした港湾での実証実験と効果検証を行う予定。
日本の貿易業務では、企業間の情報連携に紙媒体やPDFファイルが多用されている。そのため、人手による再入力、誤入力のチェック、データの修正のために多大な時間と費用を要している。また、複数の事業者が介在する貿易手続きにおいて、情報の伝達と共有のプロセスが電子化されておらず、輸出者が貨物の状況を迅速に把握することが困難となっている。
こうした状況を背景として、NTTデータではこれまで、貿易分野にブロックチェーン技術を適用した実証実験、輸出入者・船会社・銀行・保険などの大手企業による貿易コンソーシアムの設立といった取り組みを行ってきた。そして新たに、中堅中小企業を含む関係事業者で貨物や手続きに関するデータを共有する実証事業を提案していた。
実証事業概要と取り組み範囲(出典:NTTデータ)
今回の実証では、貿易情報連携基盤システムの構築だけでなく、システム連携を容易にするAPIの提供や、輸出入・港湾関連情報処理システム(NACCS:Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System)とのデータ連携などに取り組む。
貿易情報連携基盤システムは、ブロックチェーン技術を活用したもので、輸出入者・フォワーダー・通関業・陸運業・ターミナルオペレーター・船会社・銀行・保険を含めた貿易手続きに関わる事業者間で、貨物や手続きなどに関する正確なデータをセキュリティが担保された形で共有できる仕組みを提供する。
APIの提供では、事業者向けに自社システムとの連携を容易にする。また、関係者間のデータ連携に課題を抱えている中堅中小企業者の利用促進も考慮し、簡易なインターフェースの提供を検討する。
NACCSとのデータ連携では、NACCSで処理される業務(税関その他の関係行政機関に対する手続きおよび関連する民間業務)との最適な連携を実現していく。