モノのインターネット(IoT)は企業のITインフラにとって不可欠のものになりつつあり、2019年の予算にIoTプロジェクトの予算を組み込むことはあたりまえの状況になっている。
Industrial Internet ConsortiumのエグゼクティブディレクターRichard Mark Soley氏によれば、IoTは過剰期待の段階をすぎて、プロジェクトを実施する段階に入っている。
「今もまだ産業用IoTに手をつけていない企業が、今後、後れを取ることは確実であり、それらの企業は、2019年には最低でも試験的なプロジェクトのための予算を手当てすべきだ」と同氏は言う。
AccentureのインダストリーX.0事業などでデジタルビジネス統合担当シニアマネージャーを務めるDiegane Dione氏は、2019年のIT予算で、IoTプロジェクトによって大きな効果を上げたいなら、IoTによってニーズを解決できることを示すのが効果的だと述べている。考えられるニーズは、ビジネス上の課題への対応や、売り上げの拡大、費用削減、セキュリティ問題の解決などさまざまで、特にセキュリティの問題は、企業がIoTプラットフォームを導入する動機になっていることが多いという。
「IoT予算の規模は業界によって異なるが、運送・流通業や製造業、医療業界などの産業では、その資産集約的な性格を考えると規模が大きくなるだろう。例えば製造業の企業では、IoTは生産停止時間を減らすのに役立ち、特にジャストインタイム方式で生産を行っている場合には効果的だ」とDione氏は述べている。
以下では、予算にIoTプロジェクトを含めるべき5つの理由を考える。
1.IoTで製造業を合理化する
GartnerのAIやIoTなどを担当する調査バイスプレジデントMark Hung氏によれば、産業用IoTは現在、商用IoTで最大の市場になっているという。製造業では、IoTを使ってデータ収集とアナリティクスを合理化し、そこから得られた知見を資産のパフォーマンス管理の改善に役立てている。
Hitachi VantaraのIoTおよびアナリティクス担当最高技術責任者(CTO)Bill Schmarzo氏は、製造パフォーマンスの最適化はIoTの花形的分野かもしれないと話す。同氏は、「この分野には価値が高い応用事例が数多くあり、これには製造パフォーマンスや製造歩留まりの最適化、予測的メンテナンスの改善、生産の実行状況の改善、生産能力管理の最適化、在庫管理、流通、サプライチェーンのコスト削減などが含まれる。近い将来、あらゆる工場は、生産に関するあらゆるデータを収集してマイニングする技術を極め、工場の稼働状況やビジネスを最適化し、工場の経済性や財務的実行可能性を支えるスマート工場になるだろう」と述べている。