スロバキアのセキュリティ企業ESETとキヤノンITソリューションズ(CITS)は9月13日、合弁による日本法人「イーセットジャパン」の設立を発表した。大企業顧客向け事業を強化すると表明した。
CITSは、ESETの個人および法人向けセキュリティソフトウェア製品の国内総販売元として2003年から事業を展開。日本向けの製品や機能の開発、サポートも両社が共同で行っている。日本法人の新設でも従来の体制を継続するとし、設立理由は国内市場での「ESET」ブランド強化と、大企業向け製品・サービスの展開を挙げている。
イーセットジャパン設立を発表したESET CEOのRichard Marko氏(中央左)とキヤノンITソリューションズ 代表取締役社長の足立正親氏(中央右)
ESET 最高経営責任者(CEO)のRichard Marko氏は、同社の経営戦略として、従来のPCやスマートフォン向けセキュリティソフトだけではなく、スマート家電やIoT機器、法人向けのセキュリティソリューションの強化に注力していると説明。その一環として日本市場では、CITSとの新たな事業体制を通じて法人向け事業を強化するとした。
CITS 代表取締役社長の足立正親氏は、法人向けITインフラ事業の領域で、これまでの単体製品の提供から包括的なセキュリティソリューションサービスの提供が必要になっていると述べた。今後はESET日本法人と連携してソリューション開発やセキュリティ情報発信などを強化し、法人向けITインフラ事業の成長を促進させたいと説明した。
ESETが大企業向けに拡充を予定する製品・サービスカテゴリー
イーセットジャパンのカントリーマネージャーには、事業開発などの経験が深いという黒田宏也氏が就任。黒田氏は、ESET製品の販売が国内エンドポイントセキュリティ製品市場の成長率を上回るペースで伸びていると強調し、全体市場シェアでは7%、従業員100~999人の中堅企業の市場では10%を超えていると現状を説明した。今後は、特に同1000人以上の大企業向け市場に成長の余地があると述べ、個人向け製品の展開と両輪で5年後をめどに、国内シェアトップ3の一角に進出するという事業目標を表明した。
大企業向け事業はCITSが中心となって推進する。製品面では、2018年末にエンドポイント向け製品や統合管理ツールの最新バージョンを投入するほか、2019年中にはEDR(エンドポイント検知および対応)製品や脅威インテリジェンスサービス、クラウド型サンドボックス解析サービスも新規投入し、ポートフォリオを拡大させる。執行役員 ITインフラセキュリティ事業部長の近藤伸也氏は、これら製品・サービスの導入や運用を支援するプロフェッショナルサービスに注力するとし、現在はサービス担当人材の育成を進めているという。
大企業向けにはCITSがイーセットジャパンと連携してサービスなどを展開するという