SaaS型ERPで「スピード」と「統制」を両立--トラコスCFOが語るグローバル経営のガバナンス

藤本和彦 (編集部) 2018年09月20日 07時00分

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 トランスコスモスは1966年の創業以来、顧客企業の売上拡大とコスト削減をグローバルで支援するビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービスを提供。また、コンタクトセンター、デジタルマーケティング、電子商取引(EC)の領域に事業を拡大し、マーケティングから商品販売、顧客対応までをワンストップでサポートする。

 近年は、人工知能(AI)やロボティックプロセスオートメーション(RPA)を活用した業務の自動化やデジタル化を支援する「Digital BPO」サービスを拡充。スマートフォンを軸にデジタルの顧客接点を最適化するなど、サービスイノベーションにも積極的に取り組んでいる。

 グローバル領域の取り組みも強化している。現在、アジアを中心に世界33カ国、173拠点でサービスを提供。日本企業、外資企業、現地企業のグローバル展開を支援し、ローカル言語でビジネスをサポートする体制を整えている。

トランスコスモス 取締役 上席常務執行役員 CFO 本田仁志氏
トランスコスモス 取締役 上席常務執行役員 CFO 本田仁志氏

 「サービスのイノベーションやグローバル展開というビジネスモデルの多様化に迅速に対応しつつ、内部統制を担保する必要がある。日本市場は成熟化が進んでおり、今後は国外での成長を狙わないといけない」とトランスコスモス 取締役 上席常務執行役員 CFO 本田仁志氏は話す。

 イノベーティブな事業に取り組むグループ内のスタートアップ企業にはスピード感が求められるが、その反面、内部統制を効かせにくいという課題がある。グループ企業の事業活動で何らかの違反や不正があれば、最高財務責任者(CFO)の責任問題になりかねない。だからといって、統制を効かせ過ぎればスピードが失われ、ビジネスの芽を摘むことになりかねない。

 本田氏にはCFOの立場として、「スピード」と「統制」のバランスが取れた仕組みが求められていた。そうした中で、統制を重視する「標準化」と、スピードを重視する「多様化」を両立するシステムをコンセプトとして、統合基幹業務システム(ERP)の導入を決めた。「標準化された巨大な統合システムではなく、サービスごとに個別最適化が可能なシステム構成にする」(本田氏)ことを目指した。

 導入したのは、日本オラクルのSaaS型ERP「Oracle ERP Cloud」。会計システムのサポート終了に合わせ、グループ展開やグローバル対応が可能な会計基盤として導入した。会計基盤の統一によって、グループ内のデータを一元管理でき、タイムリーな情報の可視化が可能になる。具体的には、内部統制の継続的な改善やグループ会社の決算早期化、月次連結決算の実現、資金監視による不正防止、財務三表を連動した資金繰り予測、連結ベースの事業別収支分析を可能にする。

 従来は業務データが複数カ所に分散し、業務プロセスも分断された状態だったという。ERP導入を機に業務データや業務プロセスを標準化することで、グループ内で相互参照や再利用ができるようになった。その一方で、機能の追加や拡張を前提とした基盤となっており、事業ごとに最適化されたアプリケーションやサービスに置き換えられるようになっている。将来的には、社外からの利用環境を整え、時間や場所を選ばずに業務を遂行できる仕組みにする。

 「スタートアップ企業の中には3年持たないものも多い。そこに大きなシステムを導入してもしょうがない。自由にやらせていても、何かあったときにはきちんと支えられるように、ある程度の多様性を許容できるシステムを構築したかった」(本田氏)

 また、グローバルで事業を展開していると、グループ内で利益の奪い合いが発生し、もめることがあるという。会社間の利益調整によりスピード感を喪失し、クロスボーダー間の税務リスクが拡大する懸念もある。そういう点でも、グループ全体で収支管理ができる仕組みを構築する必要があった。

 コーポレート部門の役割について、本田氏は、不正を防止する「プロセスコントロール」と、適切に評価する「パフォーマンスマネジメント」が重要であると説明する。「全取引が不正なく、リスクが適切かつ効率的にコントロールされているか、全取引がグループ内外から見て正しく評価・判断できるよう効率的に記録・処理されているかを確実にし、ステークホルダーに対する会社経営の説明責任を担保する」

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