日本ストラタステクノロジーは9月19日、産業用途に向けたエッジサーバの新製品「Stratus ztC Edge」を発表した。「無停止」サーバを強みとする同社の製品技術を反映し、エッジ環境におけるIoTアプリケーションなどで高可用性を提供するとしている。
「Stratus ztC Edge」は筐体の大部分がヒートシンクで覆われるなど、環境変化の厳しい現場環境での使用に耐える設計という
新製品は、産業制御システムなどの運用環境(オペレーションテクノロジ=OT)での使用に対応する。サーバ2台の冗長化構成による高可用性を実現するとともに、KVMベースの仮想化機構などをプリインストールしていることで、ITの詳しい知識を伴わずとも30分程度で現場でのセットアップができるという。異常状態を自己認識して筐体交換時に自動でシステムの再配備を行うなどの保護機能を備える。Intel Core i7プロセッサや32Gバイトメモリ、512GバイトのSSDを搭載し、リアルタイムなデータ処理などに対応可能な性能を有するとしている。
記者会見した米Stratus Technologies 最高経営責任者(CEO)のDavid Laurello氏によると、無停止サーバ製品「FTシリーズ」などは、これまでエネルギー供給や運輸、金融、産業などのミッションクリティカルシステムで採用されてきたが、近年はエッジ領域への導入が拡大しているという。同社は、クラウドなどのデータセンター以外の領域を「エッジ」と定義する。
IoT(モノのインターネット)化によって、今後はエッジ領域におけるデータ処理が爆発的に増えると予想。Laurello氏は、「産業分野でリアルタイムアナリティクスによる迅速な意思決定を行うために、エッジのアプリケーションに高可用性が強く求められるようになっていく」と市場を展望する。
2台のHA構成を基本としている
米国などでは5月に先行発表されており、製造システム分野のパートナーとの共同ソリューションの展開もスタート。SCADA/HMI(ヒューマン・マシン・インターフィース)などを手掛けるRockwell Automationが、米国の石油化学工場向けに約100台のFTサーバと数百台のztC Edgeで構成されるシステムの導入を手掛けるほか、GE Digitalが小規模な乳製品加工会社でztC Edgeをベースにした生産管理システムを構築するという。
Laurello氏はztC Edgeのロードマップも併せて紹介。2019年中にサイバーセキュリティ機能の実装や自己修復機能などの拡充、2020年後半にクラウド対応、2021年にパッチ自動適用機能の搭載などを計画している。
国内でも同社パートナーのセゾン情報システムズやワイ・ディ・シーが、ztC EdgeをベースにしたセキュアなIoTデータ転送ソリューションや画像認識システムなどを展開するという。日本ストラタステクノロジーは運用開始後10年間の長期保守サービスなども提供し、代表取締役社長の松本芳武氏は、「今後大きな成長が見込まれるエッジコンピューティング市場に『高信頼性』という一石を投じたい」と意気込みを語った。
障害を自己検知し、故障時は1台を交換すればもう1台が自動的に仮想マシンの再配備や設定などを行い、運用を継続する