Google Cloud Next 2018

エッジコンピューティングの流れ変える--グーグル、エッジ向け機械学習チップ発表

末岡洋子 2018年07月30日 07時15分

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Google CloudでIoT担当バイスプレジデントを務めるInjong Rhee氏。GoogleのIoTの取り組みに可能性を感じ、6カ月前に入社したという
Google CloudでIoT担当バイスプレジデントを務めるInjong Rhee氏。GoogleのIoTの取り組みに可能性を感じ、6カ月前に入社したという

 Googleがエッジコンピューティング分野に乗り出す。クラウドと人工知能(AI)を組み合わせるもので、機械学習向け専用チップに代表されるハードウェアの取り組みを拡大する動きととらえることもできる。「エッジコンピューティングの流れを変えるゲームチェンジャー」と同社幹部は述べている。

 サンフランシスコで開催中の年次イベント「Google Cloud Next 2018」で発表された。エッジコンピューティングの取り組みは、2018年に発表したIoTサービス「Cloud IoT Core」を補完するものとなる。Cloud IoT Coreは、Google Cloud上で数百万にのぼるデバイスの接続と管理を支援するフルマネージドサービス。既にノルウェーの石油企業であるAkerBPが、油田の安全性強化と予測メンテナンスに利用しているほか、駐車場や農業でも採用が進んでいるという。

 イベント2日目の基調講演に登壇したGoogle CloudのIoT担当バイスプレジデントであるInjong Rhee氏は、エッジコンピューティングが求められる背景として、収集データを全てクラウドに送るとコストが高く付く可能性があり、またプライバシーや法規制上の理由からクラウドにデータを送れないケースがあることなどを挙げた。一方で、エッジデバイスやゲートウェイでデータを処理するには、コストや消費電力などが制約になりかねない。

Edge TPU。1セント硬貨に4つ載せられるという
Edge TPU。1セント硬貨に4つ載せられるという

 そこで同社が開発したのが「Edge TPU」だ。2016年には機械学習に特化した専用チップ「Tensor Processing Unit(TPU)」を発表しており、2018年5月には第3世代チップを披露している。Edge TPUは、これをエッジデバイス向けに小型化したものだ。機械学習フレームワーク「TensorFlow」を組込機器やモバイル向けに軽量化した「TensorFlow Lite」を使って機械学習の推論モデルを動かすことができる、とRhee氏は話す。1セント硬貨の上に4つ収まるほどの大きさで、低い消費電力で動作するという。チップの処理性能については、毎秒30フレームの高解像度動画に対して機械学習モデルを実行できるとしている。

 例えば、高速道路などに設置されたライブカメラに組み込むことで、交通状況をリアルタイムに分析するといった使い方が考えられるという。

 Edge TPU用の開発キットも10月に発売する。NXP Semiconductorsと共同開発したもので、CPU、メモリ、Wi-Fi、セキュアエレメントを搭載する。Googleによると、ARM、Hitachi Vantara、Nokia、ADLINKといった企業とも提携し、Edge TPUのエコシステムを構築していくという。

Edge TPUを搭載した開発キット。システム オン モジュール(SOM)とベースボードで構成される
Edge TPUを搭載した開発キット。システム オン モジュール(SOM)とベースボードで構成される

 エッジデバイス向けのソフトウェア「Cloud IoT Edge」も発表した。IoT用OS「Android Things」とLinuxに対応する。ゲートウェイ機能を担う「Edge IoT Core」と、エッジデバイス上で機械学習モデルを実行する「Edge ML」で構成される。Cloud IoT Edgeは現在、アルファ版として公開されている。

 こうしたGoogleのエッジデバイス向けシステムを早期に利用しているのが、LGの情報子会社であるLG CNSだ。Edge TPUと機械学習技術を使って製造現場の検査プロセスを効率化、LCDパネルのガラス検査に応用したところ、検査精度を99.9%に向上させることに成功したという。1製品当たり100万ドルのコスト削減が可能だと推算する。

Google Cloudが描くエッジでの機械学習。今回、左の「Edge Device」の枠を発表した
Google Cloudが描くエッジでの機械学習。今回、左の「Edge Device」の枠を発表した

 同日の基調講演でハイライトとなったのは、最後に発表されたEdge TPUだった。グーグル・クラウド・ジャパンの担当者も、日本企業から高い関心を集めるだろうと予想している。Googleはこの分野こそ、クラウド戦略における他社との差別化になると狙っている。

 「われわれは、Edge TPUや開発キット、Cloud IoT Edgeといった統合されたIoTソリューションを持ち、機械学習モデルをエッジ側で実装できるカスタムハードウェアも有する唯一のクラウドサービス事業者だ」とRhee氏は優位性を強調した。

(取材協力:グーグル)

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