座談会@ZDNet

RPAの導入課題から運用責任、未来予想まで--ベンダー座談会(前編)

阿久津良和 藤本和彦 (編集部) 2018年09月27日 06時30分

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 RPA(ロボティックプロセスオートメーション)が国内で知れ渡るようになってはや数年がたつ。労働人口の減少対策や働き方改革の文脈から多くの企業が導入を試み、成功事例は枚挙にいとまがない。だが、上層部からRPA導入の指示を受けたIT部門もしくはユーザー部門の担当者は、あまたあるRPA製品の中からどうやって選べばいいのだろうか。

 今回はRPAベンダーのRPAテクノロジーズ、NTTデータ、日本IBMの各担当者を集め、RPA導入にまつわる座談会を開催した。前編と後編に分けて紹介する。参加者は次の3人。

参加者

  • RPAテクノロジーズ 大角暢之氏(代表取締役社長 兼 最高経営責任者)
  • NTTデータ 中川拓也氏(社会基盤ソリューション事業本部 ソーシャルイノベーション事業部 デジタルソリューション統括部 RPAソリューション担当 課長)
  • 日本IBM 中村航一氏(IBMクラウド事業本部 クラウド・テクニカル・セールス シニア・コンサルティング・ITスペシャリスト)

--まずは各社の自己紹介と提供中のRPAについて教えてほしい。

大角氏:2000年にオープンアソシエイツを創業し、18年間、新規事業の創造支援を行ってきた。2008年からテストの自動化ツールでPCの動作を記録しロボットとして作業代行する基盤ソリューション「BizRobo!」を開発し、提供している。以前は人材派遣サービスやBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)が大半だったが、ちょうどRPAブームが2016年1月ごろに巻き起こった。そこから全国の中堅中小企業に向けたデジタルレイバー(労働者)の普及を、10年間の知見とソリューションで目指している。

RPAテクノロジーズ 代表取締役社長 兼 最高経営責任者(CEO) 大角暢之氏
RPAテクノロジーズ 代表取締役社長 兼 最高経営責任者(CEO) 大角暢之氏

 さらにBizRobo!を販売と同時に、各種専門家とコラボレーションしながら、実務能力を持つデジタルレイバーの稼働ソリューションを中期的に目指している。一方で経済産業省とともに日本RPA協会を設立し、RPAの普及や事業創造活動にも務めてきた。

中川氏:40年ほどNTT研究所で培ってきた技術を用いて、2009年に帳票OCR(光学的文字認識)の「Prexifort-OCR」をリリースし、データ化した紙の書類を基幹システムに登録することで収益化を目指していた。例えば、OCRが1000万円だとして、基幹システムのカスタマイズが3000万円という費用では、費用対効果(ROI)が出ないという結果になる。そこからスタートしたのが「WinActor」。こちらも2010年に弊社研究所で生まれた技術を用いて、2013年にWinActorの管理統制ロボ「WinDirector」とともに商品化した。

 当初のWinActorは、Prexifort-OCRを売るための補助ツール的な存在だった。基幹システムへのつなぎを自動化するだけではなく、基幹システムのデータをダウンロードして加工・再登録する、もしくは別のシステムからデータを移行させるといった、スタートがOCRではない業務も多数あることに気付かされた。現在はWinActorで業務最適化を支援し、紙の部分はPrexifort-OCRという業態転換している状態だ。

中村氏:当初はソフトウェア開発で入社したが、途中から顧客からソリューションを提供する部隊、現在はプリセールス部隊と歴任してきた。元々は顧客の業務改革を進めるBPM(ビジネスプロセスマネジメント)ソリューションを十数年担当してきたが、両氏と同じく昨今は手作業の煩雑化が多く、RPAが爆発的に注目を集めている。その中で日本IBMはRPAツールにこだわらず、業務改革という文脈で自動化を目指すという戦略で進んできた。

 だが、世の中を見渡すとRPAの盛り上がりは無視できない。自社のRPAを得るべく、グローバルでRPAベンダーと対話を重ねた結果、エンタープライズ企業に安心して使ってもらうという弊社コンセプトと合致するAutomation Anywhereと協業した。現在はOEM提供と、弊社が培ってきたBPMやルールエンジン、OCR、認知型システムの「Watson」などと組み合わせて、一つの業務改革ソリューションとして提供している。

--人材派遣や業務改革など三者三様。切り口がユニークだ。その上で各社RPAソリューションの得手不得手。得意な業務と苦手な業務を聞かせてほしい。

日本IBM IBMクラウド事業本部 クラウド・テクニカル・セールス シニア・コンサルティング・ITスペシャリスト 中村航一氏
日本IBM IBMクラウド事業本部 クラウド・テクニカル・セールス シニア・コンサルティング・ITスペシャリスト 中村航一氏

大角氏:弊社はBizRobo!の他に、「Blue Prism」と「NICE」を取り扱っているが、業務特性によってふさわしい/そぐわないRPAツールは存在する。どのRPAツールも基本的にはレコーディングやマクロ化という機能に集約されるため、開発したロボットをどのように運用するか。担当するのはユーザー部門なのかIT部門なのか、もしくはシステムインテグレーター(SIer)なのかという運用フェーズ。そして、ロボットの最適化や開発容易性など利用者の好みが大きく影響する、と個人的に考えている。

 BizRobo!、Blue Prism、NICEはそれぞれ特徴が異なり、BizRobo!は端末ではなくバックグラウンドやサーバサイドなどで動作するため、ロボットを社内外にスケールさせる能力は非常に高い。全社導入の際に提案している。では、なぜBlue Prismを取り扱っているのかといえば、勘定系業務でRPAツールを使うことに疑問は残りつつも、スケールの必要がなくミッションクリティカルな場面でも使えるロボットとしての安定感が大きい。NICEはコールセンターなどオペレーターが電話を受け付けて、そこからロボットを羊飼いのように使う場面における安定性は群を抜いている。

 もちろん他のRPAツールも素晴らしいが、一つのロボットから始めて全社展開はBizRobo!というように業務特性や環境、目的に応じて使い分けている。ただ、BizRobo!の課題として、ロボットの開発性や修正が容易という特徴はあるものの、WinActorなどと比べると、一定のスキルが必要になってしまう。

中川氏:WinActorはITが苦手な人でも比較的使いやすい、(自動化の流れが)分かりやすいという特徴を備えている。しかし、結局は誰がどう使うか、どこまで利用可能にするかといった企業のポリシーが大きく影響する。弊社は何十年もの間、顧客とともに業務分析を行い、無駄を排するBPMに注力してきた。だが、ベンダーが顧客の業務を巻き取って自動化するには限界があり、そこで残った業務がRPAによる自動化ではないだろうか。そこをさらに巻き取ることに意味があるのかという疑問が残りつつも、顧客に分かりやすく安全運用してもらうがRPAの主目的だ。

 弱点といえるか分からないが、WinActorは性善説で成り立っている。WinDirectorによる管理は可能だが、併用せずともロボット運用は可能だ。逆に顧客からはWinDirectorだけで管理できるように機能制限を設けたいといった要望をもらっている。統制ルールに対応したラインアップを用意しようかと考えている最中だ。

中村氏:大きく分けると2つのポイントがある。1つは運用。企業利用を踏まえると、ロボットがどこで稼働しているか把握できないのは厳しい。稼働状況やエラー発生時のリカバリなどきちんとした管理環境を合わせたソリューション。いわゆるサーバ型RPAと、その他の業務改革ツールを組み合わせて提供している。

 もう一つはロボット導入で一定の効果は見られるものの、企業全体では効果が見えにくいという顧客の意見は少なくない。だが、目の前の手作業だけ効率化しても、全体的な効率性を念頭に置かないと、周りにしわ寄せが起きてしまう。個々の業務も重要だが、全体を見回した際の効果性にフォーカスを当てているのが弊社のソリューションだ。

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