調査

2019年のIT投資予想--減少に転じるセキュリティ、新規は低水準のまま

國谷武史 (編集部)

2018-10-18 15:24

 アイ・ティ・アール(ITR)は10月18日、ユーザー系企業を対象に実施している「国内IT投資動向調査」の2019年版の速報値を発表した。4年連続で増加したセキュリティなどリスク分野への投資が反転したものの、新規分野への投資は依然として低水準にある。

 18回目となる同調査は、8月17日~9月3日に、国内のユーザー系企業に所属するIT戦略/投資の意思決定に関与する役職者へインターネットでアンケートを行ったもの。有効回答は2504件だった。

全体傾向

 まずIT予算の増減変化では、2017年度比で2018年度のIT予算を20%以上増加した企業が5%、同20%未満の増加が29%、横ばいが60%、同20%未満の減少が6%、同20%以上の減少が1%だった。2019年度のIT予算見込みは、10%未満の増加を挙げた企業が2%増、横ばいを見込む企業が2%減となった以外は、2018年度とほぼ同じ状況にある。

 業種別では、特に2017~2018年度で大きな増加傾向を見せた製造が、2019年度は減少に転じると見込みだ。一方、2019年度に増加が予想されるのは卸売・小売と情報通信の2業種となっている。

 IT支出の傾向のうち新規分野(新規システム構築や大規模なリプレースなど)は、2018年度が31.7%で、30%台前半の状況が2015年来続く。その内訳では「ビジネス」が32%、「業務効率化」が38%、「業務継続」が30%で、こちらも2015年以降、ほぼ同じ状況が続く。

 一方でIT予算に占めるリスク対策費用は、2014年から4年連続での増加基調が減少に転じた。情報セキュリティ対策費は2017年度の16.5%から2018年度は14.7%に、災害対策費は10.4%から9.0%に減り、「どこまで増加し続けるか注視してきたが、ついに減少し、投資が一巡したと予想される」(アナリストの中田陽子氏)と分析している。

IT予算額に対するリスク対策の費用割合(出典:ITR「IT投資動向調査2019」)
IT予算額に対するリスク対策の費用割合(出典:ITR「IT投資動向調査2019」)

 2019年度にユーザー系企業が重視するIT戦略テーマ(18種)でも、この状況が見られた。2018年度から2019年度の順位変動で、リスク対策関連テーマは「サイバー攻撃への対策強化」(8位から11位)、「プライバシーや機密情報の保護」(9位から10位)、「内部統制や法令順守への対応」(14位から17位)と軒並み下がった。その代わりに、「従業員の働き方改革」(11位から7位)、「IT部門スタッフの人材育成」(17位から15位)、「IT組織の再編」(18位から16位)など、ITを中心とする人材関連テーマの上昇ぶりが目立っている。

2019年度に最重要視するIT戦略上のテーマ(出典:ITR「IT投資動向調査2019」)
2019年度に最重要視するIT戦略上のテーマ(出典:ITR「IT投資動向調査2019」)

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