この時期になると来年度に向けたIT投資計画や年度予算計画が検討されます。そこで今回は最新のIT投資動向調査の結果から、ユーザー企業において投資意欲が高まっている分野について見ていきたいと思います。
IT投資は増額傾向が増す
ITRは、国内企業におけるIT投資動向の包括的な把握を目的としたアンケート調査を2001年より毎年実施しており、2017年8~9月に実施した今回は通算で17回目を数えます。まずは、IT投資の増減に関する傾向から確認してみましょう。2017年度(2017年4月~2018年3月)のIT予算は、前年度から「増額」とした企業の割合が34%と、前年調査における2016年度の値から大きく上昇して3割を超えました。一方、「減額」とした企業の割合は前年調査の結果からさらに下回り、2001年の調査開始以来で最も低い水準となりました。
2018年度(2018年4月~2019年3月)に向けた見通しでは、「増額予定」が「減額予定」を大きく上回る傾向と、減額を見込む企業の割合が一桁台という様相は2017年度と同様であり、総合的にはIT予算の増額傾向は継続する予想です。
なお、このIT予算の増減傾向を指数化した「IT投資増減指数」を見ると、2017年度の実績値は「2.58」となり、前年調査時の予想値(1.73)を大きく上回り、リーマンショック以後の2009年度以降では最高の水準となっています(図1)。2018年度の予想値は、「2.43」となり2017年度の実績値より下回っていますが、近年の前年予想値は実績値と同等かそれ以上となっていることを考慮すると、2018年のIT投資もポジティブな傾向が期待されます。
図1.IT投資増減指数の推移(2001年~2018年度予想)
出典:ITR「IT投資動向調査2018」(有効回答:2554件)