内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」

2018年はどの分野にIT投資が向けられるのか

内山悟志 (ITRエグゼクティブ・アナリスト)

2017-12-14 07:30

 この時期になると来年度に向けたIT投資計画や年度予算計画が検討されます。そこで今回は最新のIT投資動向調査の結果から、ユーザー企業において投資意欲が高まっている分野について見ていきたいと思います。

IT投資は増額傾向が増す

 ITRは、国内企業におけるIT投資動向の包括的な把握を目的としたアンケート調査を2001年より毎年実施しており、2017年8~9月に実施した今回は通算で17回目を数えます。まずは、IT投資の増減に関する傾向から確認してみましょう。2017年度(2017年4月~2018年3月)のIT予算は、前年度から「増額」とした企業の割合が34%と、前年調査における2016年度の値から大きく上昇して3割を超えました。一方、「減額」とした企業の割合は前年調査の結果からさらに下回り、2001年の調査開始以来で最も低い水準となりました。

 2018年度(2018年4月~2019年3月)に向けた見通しでは、「増額予定」が「減額予定」を大きく上回る傾向と、減額を見込む企業の割合が一桁台という様相は2017年度と同様であり、総合的にはIT予算の増額傾向は継続する予想です。

 なお、このIT予算の増減傾向を指数化した「IT投資増減指数」を見ると、2017年度の実績値は「2.58」となり、前年調査時の予想値(1.73)を大きく上回り、リーマンショック以後の2009年度以降では最高の水準となっています(図1)。2018年度の予想値は、「2.43」となり2017年度の実績値より下回っていますが、近年の前年予想値は実績値と同等かそれ以上となっていることを考慮すると、2018年のIT投資もポジティブな傾向が期待されます。


図1.IT投資増減指数の推移(2001年~2018年度予想)
出典:ITR「IT投資動向調査2018」(有効回答:2554件)

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]