McKinseyは、最近実施した、企業がIoTの導入によって挙げた成果について調べた調査の結果を発表している。この調査で、IoTで成果を挙げた企業には、なじみのない分野に参入した企業は少なかったことが明らかになった。製造業の企業がソフトウェア企業になったりしたわけではなく、自社の強みを生かすことを選択した企業が成功している傾向がある。Michael Chui氏が率いるMcKinseyの調査チームは、「IoTから大きな経済的メリットを得ている企業では、取り組みが遅れている企業に比べて、販売している既存の製品にIoTの接続性を追加している例が約3倍に上る」と説明している。「逆に、得ている経済的利益が回答企業の下位5分の1以下に入っている、取り組みが遅れている企業では、新たなIoT製品やIoTサービスの開発に力を入れている傾向が強い」
Chui氏らは、いくつかの産業用IoTの事例を挙げている。
- 社外顧客のプラットフォーム構築。ある農業機器メーカーは、既存の事業部門の製品やサービスをIoT化して、土壌の状態を継続的に検知し、含水率を監視する農場向けセンサを使用し、クラウドベースのアナリティクスプラットフォームにデータを送信できるようにすることに研究開発投資の重心を移した。Chui氏らは、「ユーザーが増えるにつれて、メーカーが提供するデータの品質や幅が向上し、システムの予測機能が改善され、エコシステムに参加する農家にとっての価値も高まっている」と述べている。
- 社内コラボレーションの促進。ある金属製造業者は、3台の圧延機のセンサをIoT環境に接続して、これまで使用されていなかったデータを収集し、分析する環境を整えた。同社は、現場の従業員による利用を後押しするため、「作業プロセスにボトルネックが発生し始めた場合には、直ちにオペレーターがそれを知ることができる」よう、工場内のさまざまな作業プロセスを修正すると同時に、問題解決のためのコラボレーションを奨励した。レポートでは、「この金属製造業者は、IoTの価値を最大限に生かすためには、人間の行動を変え、意思決定の方法を変え、素早い情報の流れを前提として業務を進める必要があることを学んだ」と説明されている。
Chui氏らは、IoTのプロジェクトを進める際には、社外との協力関係が重要だと述べている。「IoTの技術的なエコシステムは、日々成長し、改善されている。ソフトウェア開発など分野の、専門性が高い小規模なプレーヤーと協力しながら取り組みを進めることで、競争上の優位が得られる。そのような協力関係は、自社のプログラムの進行を加速し、優位に立ってIoTの分野でリーダー企業となる上で役立つだろう」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。