SAPは10月23日から3日間、スペイン・バルセロナで「SAP TechEd Barcelona 2018」を開催した。初日の基調講演では最高技術責任者(CTO)を務めるBjorn Goerke氏が、このところ同社が進める“インテリジェントエンタープライズ”実現のための開発者向けの取り組みについて語った。待望のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)も発表した。
インテリジェントエンタープライズの3要素
SAP最高技術責任者のBjorn Goerke氏
Goerke氏は、SAP Cloud Platformのプレジデントを務めてきたが、2017年にSAPのCTOに就任し、現在はSAP Cloud Platformのプレジデント職を兼務している。開発者向けの取り組みにおいて同社のSAPの顔であり、例年は米国、欧州、インドで開催されるTechEdで基調講演を行っている。
Goerke氏によると、SAPはインテリジェントエンタープライズに向けて、次の3つを提供するという。
- インテリジェントなスイート
- デジタルプラットフォーム
- インテリジェンスのための技術
(1)はデジタルコアを中心に顧客体験、製造とサプライチェーン、人とエンゲージ、ネットワークと支出管理の4分野に分かれており、製品としては「S/4 HANA」、2018年にHybrisからブランド名を一新したフロントオフィスの「C/4 HANA」、イノベーションプラットフォームの「SAP Leonardo」、そして専門人材を探すことができるプラットフォーム「SAP Fieldglass」やタレント管理「SAP SuccessFactors」などの業務アプリケーションをさす。
SAPが描く次世代のエンタープライズ“Intelligent Enterprise”
インテリジェントスイート
(2)は、データ管理スイートの「SAP HANA Data Management Suite」およびPaaSの「SAP Cloud Platform」となる。
この日の基調講演では、SAP Cloud Platformの統合技術を中心に紹介した。(1)のインテリジェントスイートにより、SAPの製品はそのままで統合されているが、顧客はSAP以外の技術も使っているのが現実だ。そこでSAPは、SAP以外の製品と接続するための「SAP Cloud Platform Integration Services」を提供する。「5000以上の顧客がSAP Cloud Platform Integration Servicesを利用して、非SAP製品とSAPとを統合している」とGoerke氏。
統合をさらに強化すべくSAPは、6月に「SAP Cloud Platform Open Connectors」を発表した。150以上のサードパーティのサービスと接続できるコネクタを用意しており、Restful APIを利用して簡単に接続できる。ノーマライズされており、土台のアーキテクチャを気にすることはないという。
統合ではさらに、「Integration Content Advisor for SAP Cloud Platform Integration」も用意する。システム間のデータストラクチャのマッピングを利用してアプリケーション統合プロセスを支援するもので、機械学習の利用により、作業をさらに簡素化できるという。
「SAP Cloud Platform Open Connectors」では150以上の外部サービス向けのコネクタがある
「Integration Content Advisor」ではデータマッピングのガイドラインなどのアドバイスに沿って統合できる
これらを利用して、SAPと外部技術との統合を加速し、顧客はシステムをまたいだビジネスプロセスの作成を合理化できるという。その結果として、「ビジネスのアジリティを加速する」とGoerke氏はいう。