デルとEMCジャパン(Dell EMC)は、SAPジャパンと中堅企業向けERPビジネスで協業すると発表した。両社による会見での説明から、まだまだオンプレミスが中心の中堅企業のIT利用実態が浮かび上がってきた。
中堅企業向けビジネスの両社事業責任者がタッグ
「中堅企業の基幹システムはこれまで、オフコンが長らく使われていたり、独自開発のソフトが利用されていたりするケースが少なくなかった。しかし、そうした企業の多くがここにきて、システムの刷新とともにビジネスのグローバル展開に向けて、SAPのERPを導入しようと考えている」
デルの清水博 執行役員 広域営業統括本部長は、SAPジャパンと中堅企業向けERPビジネスで協業する発端となった動きについて、こう説明した。ここで言う中堅企業とは、従業員数100人から1000人未満を指す。
協業の内容は、Dell EMCがSAP ERP向け基盤ソリューションを提供し、SAPジャパンおよび中堅企業に実績があるSAPパートナーとの連携によってビジネス展開していこうというものだ。
発表会見には、SAPジャパンの牛田勉 常務執行役員ゼネラルビジネス統括本部長も同席。「SAPとしても中堅企業向けビジネスは非常に注力している。Dell EMCとともに、さらに盛り上げていきたい」と力を込めた。(写真1)

写真1:会見に臨むデルの清水博 執行役員 広域営業統括本部長(左)とSAPジャパンの牛田勉 常務執行役員ゼネラルビジネス統括本部長
ちなみに、Dell EMCとSAPの関係はこれまでグローバル市場でさまざまなビジネス連携を行ってきたが、中堅企業を対象とした今回のような取り組みは例がないという。まさに、それぞれの立場で中堅企業向けビジネスを担っている清水氏と牛田氏のタッグが実現した協業といえる。
連携するSAPパートナーは、アイ・ピー・エス、NTTデータグローバルソリューションズ、FutureOneの3社。従業員数500人以上の企業にはERPパッケージとして主に「SAP S/4HANA」を、同500人以下には「SAP Business One」を売り込んでいく構えだ(図1)。

図1:SAPパートナー3社が提供する中堅企業向けソリューション(出典:Dell EMCとSAPジャパンの資料)