富士通が国内における営業体制の改革に乗り出した。従来のアカウント営業に加えて、「専門営業」を大幅に強化する。その狙いとは何か。
アカウント営業に加えて「専門営業」を強化

会見に臨む富士通の田中達也 代表取締役社長
富士通の田中達也社長が先頃、経営方針についての記者会見で、国内における営業体制を改革することを明らかにした。これまでは業種別のアカウント営業を中心とした体制だったが、これに一部で進めてきた専門営業を大幅に拡充し、営業体制の抜本的な強化を図る構えだ。
田中氏はこの会見で、2020年度までに富士通グループ全体で5000人規模の配置転換を行うことも明らかにした。対象となるのは人事や総務などの間接部門で、研修を通じて営業やSEとして育成するとしている。営業体制の強化は、この動きとも関連したものである。
会見後の報道では「5000人規模の配置転換」に注目が集まっていたが、本コラムでは専門営業の拡充に着目したい。
営業体制の改革についての田中氏の説明をもう少し記しておこう。図1が専門営業をめぐる今回の動きを描いたものである。アカウント営業と専門営業からなる富士通本体の営業部門に、グループ企業からも人員をシフトしてパワーアップを図り、顧客に対して付加価値の高い提案やサービスを迅速に提供していく流れを示している。

図1:富士通が進める営業改革の概要
専門営業の役割は、「LoB(Line of Business)」「デジタルテクノロジ」「クロスインダストリー」の3つ。田中氏によると、LoBは「ビジネスパートナーとしてお客さまとともに新たなビジネスを創出していくチーム」、デジタルテクノロジは「AIやIoTといった最新のデジタルテクノロジを活用してお客さまの事業に新たな価値を提供するチーム」、クロスインダストリーは「業界や組織の垣根を越えてお客さま同士をつないで新たなビジネスモデルを創出していくチーム」とのことだ。