今さら聞けないネットワーク回線の基礎

第4回:WANサービスの「松竹梅」--安全性・確実性に違いあり

飯田哲也 (アルテリア・ネットワークス)

2018-11-06 07:00

 前回はネットワーク回線サービスの種類として次の3つを挙げた。今回はこの3つのサービスについて詳しく述べていく。

  1. インターネット接続サービス
  2. 閉域網VPNサービス
  3. 専用線サービス

1.インターネット接続サービス(インターネットVPNサービス)

 インターネット接続サービスとは読んで字の通り、インターネットに接続するサービスである。私にはこれが意外にしっくりこなかった。インターネットに接続するとはどういうことなのか。第1回でインターネットとはネットワーク同士をつなぐものだと説明した。つまりインターネットに接続するとは“他のネットワーク”に接続することを指している。

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 この“他のネットワーク”には自社の別拠点のネットワークはもちろん、他社のネットワークや、Googleなどのインターネットサービスのネットワークも含まれる。そうなるとネットワークに流れる情報は第三者からも見ることができてしまう。自社のある拠点ネットワークから別拠点へ情報を発信する場合にそれでは困ってしまう。そこで使われるのがVPN(Virtual Private Network:仮想私設網)という技術だ。

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 VPNは特定の経路(自社のある拠点から別拠点のネットワークのこと)の通信を全て暗号化して中身を見えなくする技術だ。インターネットという公のネットワーク上でありながら、まるで自社専用のプライベートなネットワークのように扱えることからこのように呼ばれる。この形のサービスは、インターネット接続サービスとVPNを合わせて、インターネットVPNサービスとも呼ばれる。

 さて、これで安心だ。とはいえ、中身は見えずとも攻撃を仕掛けることはできる。不特定多数がつながるインターネット接続サービスではまだ不安だ。そんな人には次に紹介する閉域網VPNサービスをお勧めしよう。

2.閉域網VPNサービス

 閉域網とは何か。これはクローズドネットワークとも呼ばれるインターネットと比較されるネットワークだ。先に述べたようにインターネットは誰もが接続できるオープンなネットワークだ。それに対し、特定の人しかつなげないネットワーク、それでいてインターネットと直接接続していないネットワーク、それをクローズドネットワーク(閉域網)という。

 この閉域網を用意してくれるのは前回紹介した通信キャリアだ。つまり通信キャリアが自前でネットワークを必要とされるエリアに張り巡らし、それを特定の人(その通信キャリアと契約した人)のみで使おうというわけだ。

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 特定の人(その通信キャリアと契約した人)しかいないとはいえ、他人は他人、情報をのぞき見されるわけにはいかない。そこでインターネットと同様にVPNを合わせて使用する。これで閉域網VPNサービスの出来上がりだ。インターネットからアクセスできない分、インターネットVPNサービスよりも安全性が高いといえる。いや、それでも他人がいるなんて心配だ。そういう人には最終兵器ともいえる専用線サービスを紹介しよう。

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