Appleはこの2カ月の間に、「iPhone XS」「iPhone XS Max」「iPhone XR」「iPad Pro」「Mac mini」「MacBook Air」の発売を発表した。これらの製品に共通しているのは、同社がどれだけ価格を上げられるかを試しているということだ。そして、ウォールストリートのアナリストたちはその効果に期待している。ただし、製品を購入する企業顧客は、必ずしもこれを歓迎しているわけではないかもしれない。
この数年でAppleについて分かったことがあるとすれば、それは同社の価格決定力の強さだろう。サムスンの顧客であれば、高すぎる製品の価格に音を上げてもっと「お買い得」な製品を要求するような状況でも、Appleは高級デバイスメーカーとして受け入れられている。
果たして、Appleはどこまで価格を引き上げられるのだろうか。公平を期すために言えば、今はさまざまなコストが上がっており、今後は中国に対する制裁関税の影響も出てくると見られる状況だ。Appleの値上げは、多くの意味で米国経済における広範なインフレ傾向の1つの現れに過ぎないとも言える。今、利益幅を維持するために価格を引き上げたいと考えている企業はAppleだけではない。
もう1つ留意すべき点は、Appleは上位デバイスの価格は引き上げたが、スマートフォンに1000ドル以上は払いたくないという層をターゲットとした「iPhone XR」などのデバイスも提供していることだ。
現在のところ推移は順調だ。Appleは米国時間11月1日、アナリストの予測を上回る堅調な2018会計年度第4四半期(9月29日締め)の決算を発表し、(iPhoneの販売台数は横ばいだったが)同社が販売するiPhoneの平均販売価格が前年同期の618ドルから793ドルに上昇したことを明らかにした。
いずれにせよ、Apple製品の価格上昇は見逃せるレベルではない。JefferiesのアナリストTimothy O'Shea氏は、iPad ProおよびMacBook Air発売後、そして今回の業績発表の前に、一連の価格上昇について概観している。同氏は平均販売価格の上昇による売上高増に対する期待を隠せていない。
O'Shea氏は、おそらく多くのAppleユーザーが気づいていることについて次のように説明している。
ハードウェア価格は製品ラインを問わず上昇し続けている。新型の11インチiPad Proの価格は799ドルからで、従来モデルの649ドルと比べ23%上がった。また1199ドルからの新型MacBook Airも、999ドルからの従来モデルよりも20%高くなった。そして、799ドルからの新型Mac Miniは、499ドルからだった先代モデルに比べ、なんと60%も価格が上昇している。iPhoneの価格も、この2年間で13%から19%上昇した。
O'Shea氏はまた、Appleは強い短期的な価格決定力を持っており、「明らかにその力を誇示している」とも述べている。もう1つ気になる点は、周辺機器の価格も上昇していることだ。「Apple Pencil」の価格は129ドルで、第1世代から30%上昇しているし、「Smart Keyboard Folio」も以前のものよりも13%高い179ドルからになっている。O'Shea氏は調査ノートの中で、「2018年のiPad Proを23%高い価格で購入すると、周辺機器にも以前より多くを支払うことになる」と述べている。
もちろん、それでうまくいくなら結構なことだろう。Appleはテクノロジ業界でも価格決定力を維持できている数少ない会社の1つだ。
Appleの第4四半期総売上高は、20%増の629億ドルだった。アナリストの予想は616億ドルとなっていた。純利益も、前年同期の107億ドル(1株あたり2.07ドル)から141億ドル(1株あたり2.91ドル)に増加した。Yahoo Financeの集計によると、アナリストの予想では1株あたり2.78ドルだった。
通期では2656億ドルの売り上げ、595億ドル(1株あたり11.91ドル)の純利益を計上している。
提供:Apple
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。