今さら聞けないネットワーク回線の基礎

第5回:ネットワークを1本ずつ引くんじゃ大変じゃない!

飯田哲也 (アルテリア・ネットワークス) 2018年11月13日 07時00分

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コアネットワークという考え方

 ネットワーク回線サービスは拠点間を接続するサービスだ。光ファイバを拠点間に敷設するわけだが、例えば、拠点が東京と大阪にある場合、サービスを契約するたびに新たな光ファイバをつなぐのだろうか。毎回そんなことをしていたら、いつネットワークが開通するのか分かったものではない。

 そうならないために、通信キャリアはあらかじめ主要都市間に光ファイバを張り巡らせている。この主要都市間をつないだネットワークを、コアネットワークやバックボーン、基幹回線網と言ったりする。本連載内ではコアネットワークで統一しよう。

図版1

 コアネットワークは通信キャリアの規模によりその範囲が異なってくる。例えば、日本全国に自社の光ファイバを張り巡らせている通信キャリアもあれば、特定の地域だけに展開している通信キャリアもある。また、自社で光ファイバを敷設していなくてもサービスを提供できる場合もある。自社で光ファイバを持たない通信キャリアはどうしているのかというと、他社の光ファイバを借りてサービスを提供するのだ。例えば、先に挙げたように全国にわたって光ファイバを敷設している事業者が、使っていない光ファイバ(ダークファイバという)を貸し出す事業を展開していたりする。

 他社への貸し出し方にもさまざまな形がある。ダークファイバのように光ファイバの芯線そのものを貸し出す方法もあれば、光の一部の波長を貸し出すというもの、さらには、その波長上の一部の帯域を貸し出すというのもある。このようにネットワークの分け方というのは多様性を極める。貸し出される領域が一部であればあるほど、他の影響を受けやすいが、その分多くのユーザーにサービスを提供できるため低コストとなる。これについては自社の設備でサービスを提供する場合にも同じことが言える。他社設備と自社設備で提供されるサービスの違いは、自社設備の方がその保守やカスタマイズ性、拡張性などに自由が利くということだろう。

アクセスネットワークという考え方

 主要都市までたどり着いたネットワークはそこからサービスを契約する各拠点までつなげられていく。ここでもあらかじめ通信キャリアは各拠点に近いところまでネットワークを展開している。このような主要都市内でのネットワークをメトロネットワークと言ったりもする。そのメトロネットワークのアクセスポイントから拠点までのラストワンマイルのネットワークをアクセスネットワークと言う。あるいは、メトロネットワークも含めてアクセスネットワークと言うこともある。

図版2

結局どことどこをつなげるのか?

 ここまでくると何となく想像できるかもしれないが、ネットワーク回線サービスを契約すると、結果的に新たにつながるところは拠点と通信キャリアのアクセスポイントまでということになる。さらに言うと主要なオフィスビルには通信キャリアのネットワークがあらかじめ敷設されていることが多い。そうなると設定だけで済む話になりそうだが、そうはうまくいかないこともある。その場合、アクセスポイントからその拠点の入っているオフィスビルまで、電柱や地中の管路を通して光ファイバを敷設することになる。この期間はおおよそ数カ月を要する。

 前回紹介した専用線サービスの場合、自社専用のネットワーク回線サービスとなるので拠点から拠点まで他社の入り込む余地がないようにつなげなくてはならない。その場合、その状態をどのように定義付けるかでサービスの定義が変わってくる。例えば、同じ光ファイバの芯線を通っても波長が違えば物理的な性質上、交わることはない。この状態を他社の入り込む余地がないと定義するなら、それが専用線サービスとなるだろう。さらにそこに一部、閉域網VPNサービス的な要素を加えても論理的には交わることはないとして、全体的には専用線サービスと定義するサービスも存在する(広域イーサネット型専用線と筆者は定義)。

図版3

 この定義付けの違いはサービスのコストや納期に深く影響する。より厳密に全く他社の入り込む余地のないサービスを求めるならば、数カ月をかけて専用の光ファイバを敷設するのだろう。技術をある程度信用し、ここまではOKと割り切るならば安価で、短納期のサービスを利用することもできる。

次回予告

 途方もなく遠い距離に光ファイバを敷設するような事態からは逃れられたものの、まだまだ時間のかかるネットワークの構築。次回はそれを回避するマル秘テクニックを紹介しよう。

飯田哲也(いいだてつや)
アルテリア・ネットワークス エキスパート・エンジニア
1973年生まれ。PlayStatoinシリーズの開発に関わりハードウェアおよびソフトウェアの基礎技術を会得。PlayStation2の開発においてはPS1互換エミュレータのメインプログラマーを務める。その後、台湾楽天市場のプロデューサー兼プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)としてウェブサイトの構築と運用を担当。アドテクノロジのベンチャーを経て、楽天でんわおよび楽天モバイルの立ち上げに技術担当として携わる。

2016年からアルテリア・ネットワークス。レジスタからクラウドまでソフトウェアの多くのレイヤに関わった経験と、ゲーム・電子商取引(EC)・アドテクノロジ・電話・インターネット接続事業者(ISP)と多くの業界を渡り歩いた経験をもとに技術やプロダクトのリサーチ・マーケティング業務を担当。現在に至る。

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