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オンプレミスのネットワークをAmazon VPCに最も近づける--Big Switch共同創業者のフォスター氏

渡邉利和

2018-12-04 06:00

 米Big Switch Networksは、2018年7月に新たな「クラウド・ファースト・ネットワーキング(CFN)・ポートフォリオ」を発表し、オンプレミスのデータセンターネットワークを対象に、「最適なパブリッククラウドネットワーキング技術をオンプレミスにもたらす」という取り組みを加速している。11月にはこの取り組みをオフィスネットワークにまで拡大する「Big Cloud Fabric for Campus Core」をユニアデックスと共同開発、提供することを発表している。こうした取り組みの背景を共同創業者であるKyle Forster氏に聞いた。

--「CFN」の開発に至った背景は何か。

Big Switch Networks共同創業者のKyle Forster氏
Big Switch Networks共同創業者のKyle Forster氏

 2年ほど前に、大規模なユーザー企業のネットワークアーキテクトとミーティングし、その後に全員が廊下に出たところ、彼がふともらした「Big Switch Networksを選んだのは、『Amazonのオンプレミスネットワーキング』に最も近づけたからだ」という言葉が鮮烈に記憶に残っている。

 それまでの8年間、私はSDN(Software Defined Networking)に、真にフォーカスした企業の実現に注力していたが、彼の言葉が実に美しくシンプルで、そこからさまざまなインスピレーションが湧いてきた。この言葉はBig Switch Networks社内でもバイラルに拡散していき、今では、ほぼわれわれのミッション・ステートメント(企業理念)となっている。その時の想いが、7月に発表したCFNにつながっている。

 そこから約1年を掛け、われわれは「パブリッククラウドのネットワークから何を学べるのか」「何をオンプレミスのデータセンターに採り入れたら良いか」ということを考えてきた。米国では「自分たちのアイデアを誰かにまねされるのは悲惨なことだ」というのが一般的な認識だが、特に「Networking as a Service」という文脈で見ると、AmazonやGoogleは自分たちが考え出したネットワーキングアーキテクチャがオンプレミスのデータセンターにも採り入れられているということについて、自分たちのアイデアが讃えられた結果だと誇りに思うべきだろう。

--タレント(人材)のモビリティ(流動性)も関心が高まっている。

 日本に来て、東京のある金融機関でインフラ部門を率いている方に聞いた話が、とても興味深かった。その方は、「クラウドか、オンプレミスデータセンターかという文脈では、たいてい真っ先に“ワークロードモビリティ”が問題になるが、私はそこに興味がない。私が気にしているのは“人材のモビリティ”だ」と言った。

 例えば、トップレベルのネットワークエンジニアをオンプレミスのプロジェクトからクラウドのプロジェクトに移動し、再びオンプレミスに戻すというような移動ができるかどうかという話だ。現状は、そうした移動はほぼ不可能だ。

 オンプレミスのデータセンターのネットワーキングについて熟知していても、クラウドのネットワーキングは新しいアーキテクチャであり、新しいツールや手法について学ばなくてはいけない。現状で両者が全く異なるものになってしまっていることが問題にある。

 これを聞いて私は、この問題を解決することこそがBig Switch Networksが取り組むべき課題なのだと考えるようになった。もっとも、実際に取り組んでみると、そこにはさまざまな技術的な困難があり、解決すべき問題がさまざまあった。例えば、オンプレミスのネットワークはクラウドに比べると、はるかにヘテロジーニアス(異種混在)な構成になっている。一般的な環境では、「vCenterのネットワーク」「Nutanixのネットワーク」「OpenStackのネットワーク」「Kubernetesのネットワーク」などを全てクラウドのネットワークのように扱えるようにしなくてはならない、ということになる。

 Googleの検索トレンドを見ると、かつてはCisco vLANに関する検索数が圧倒的多数を占めていたが、近年はAWS VPCに関する検索が伸びており、両者は拮抗しつつある。数年後には逆転するはずだ。これはつまり、ネットワークエンジニアの知っておくべき技術が切り替わったことを示すものだろう。

Google検索トレンドの変化(Big Switch Networks資料)
Google検索トレンドの変化(Big Switch Networks資料)

 とはいえ、われわれの初期の成果をネットワークのエキスパートにレビューしてもらったときには、「AWSやGoogleのVPC(Virtual Private Cloud)の機能をオンプレミスで使えるようにしたのだね」と、すぐに理解してもらえたのがうれしかった。その人は、「言われてみれば当たり前のようなアイデアだが、誰も取り組んでこなかったことだ」と言ってくれたのだった。それを聞いて、Big Switch NetworksがVPCをオンプレミス向けに提供する最初の企業になるという確信を持つことができた。一方で、クラウドのネットワークをオンプレミスのようにモニタリングできるCloud Watchもリリースしたが、これも初めての実装だと言えるだろう。

--オンプレミスとクラウドのネットワークに対する“常識”が違う。

 現状、シリコンバレーの企業の間における支配的な考え方は、「クラウドをオンプレミス製品のように見えるようにする」ということだ。しかしわれわれのアイデアは全く逆であり、オンプレミスのネットワーク環境をクラウドのように見せようとした。これが「Big Cloud Fabricエンタープライズクラウド版(BCF-EC)」で、VPCインテリジェンス機能により、VPCスタイルの論理ネットワーキングをオンプレミス環境に提供できる。

 一方、クラウドが全てにおいて優れているというわけではなく、ディープパケットモニタリングやフローモニタリングといった監視/可視化の手法に関しては、オンプレミスの方が優れている。だから、これをクラウドで活用できるように「Big Monitoring Fabricパブリッククラウド版(BMF-PC)」も用意した。

 既に、パブリッククラウドに習熟しているネットワークエンジニアもいる。彼らに普段パブリッククラウドでどのような仕事をしているか聞いてみたところ、パブリッククラウドのネットワークに何か問題が生じた際のトラブルシューティングを担当しているという答えだった。そこで、そのためのツールが必要だと考えた。通常のパブリッククラウドは、実はネットワークエンジニアを想定せずに設計されているためだ。ネットワークエンジニアとパブリッククラウドの橋渡しをするようなツールがあれば良いと考えた。

 このように、ネットワーク全体のアーキテクチャに関しては、「オンプレミスでパブリッククラウドと同様のVPCを使えるようにする」一方、運用管理やモニタリングに関しては、オンプレミスで実績のある手法をクラウドネットワークにも適用可能にした。ネットワークエンジニアにとって、使いやすいものになるよう、両者の利点を組み合わせる形になっている。

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