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働き方改革の本質を踏まえたソリューション導入のあり方--三井住友海上の事例

渡邉利和

2018-11-22 09:42

 シトリックス・システムズ・ジャパンは11月21日、都内でプライベートイベント「Citrix Synergy Direct Tokyo 2018」を開催した。キーメッセージとして「これが未来の働き方 ~This is how the futureworks~」を掲げ、働き方改革にフォーカスした。

シトリックス・システムズ・ジャパン 代表取締役社長の青葉雅和氏
シトリックス・システムズ・ジャパン 代表取締役社長の青葉雅和氏

 基調講演の冒頭であいさつに立った代表取締役社長の青葉雅和氏は、日本の働き方改革が、ともすれば労働者の保護や長時間労働の是正といった側面のみに注目されがちだという点を踏まえ、「それは“働かない改革”では?」と疑問を呈した。重要なのは労働時間の短縮ではなく、生産性の向上だと訴えた。

 続いて登壇した米Citrix Systems アジアパシフィック ジャパン シニアバイスプレジデントのColin Brookes氏は、入社後7週目とのこと、自身がCitrixについて聞いたさまざまな話を理解した内容を聴衆と共有するというスタイルで講演した。同氏は「Experience(エクスペリエンス)」「Choice(選択肢)」「Security(セキュリティ)」の3つのキーワードを強調し、働き方改革を実現するためにも「コンテクスト(文脈)を理解するワークプレイスが必要であり、そこには、この3つの要素が備わっていることが不可欠である」とした。

三井住友海上火災保険 IT推進部長の田中誠司氏
三井住友海上火災保険 IT推進部長の田中誠司氏

 基調講演のゲストにはユーザーである三井住友海上火災保険 IT推進部長の田中誠司氏が、「シンクライアントを活用した『働き方改革』の推進」と題して講演した。

 同社は、MS&ADインシュアランス グループの中核事業である損害保険事業を担い、グループ会社を含めた社員数は約3万3000人、国内485拠点、国外42カ国/地域に展開する世界でもトップクラスのネットワークを保持するという。

 もともと社員一人に1台の“FAT PC”を割り当てていたが、運用管理のための作業負荷やコスト、5~6年ごとの更新費用などの負担が重く、何とかしたいと考えていたそうだ。また、損害保険という事業の特性上、損害の査定のために社員が現地に赴くことが多い一方、金融機関として機密性の高い情報を扱うことから、従来はPCの持ち出しなどを基本的に行っておらず、そのため外出した社員はわざわざ会社に戻らないと作業ができないという問題もあったという。

シンクライアント導入の検討に至った際の課題
シンクライアント導入の検討に至った際の課題

 そこで、全PCの約7割が更新時期を迎える2016年をめどに、シンクライアントシステムの導入の検討を開始したのが2013年4月だった。この時点では情報漏えい対策や事業継続(BCP)対応、運用コスト低減などが主なテーマで、働き方改革については、当時はさほど注目はしていなかったという。トラブルが業務停止に直結する重要システムということもあって慎重に取り組み、2016年6月から約1000人のパイロットユーザーによるテストを行った後、2016年10月から本稼働に入った。

 検討当初はあまり意識していなかった働き方改革だが、クライアントデバイスに情報を保持しないことによる情報漏えい対策とデバイスを持ち出せることを当初から想定していたことに加え、出社困難になるような深刻な災害などを想定したBCP対策としての役割も考え、シンクライアント化するPCは約1キロ程度の軽量なモデルを選定したという。

 この結果、持ち歩きが苦にならないということで、社内での会議などでも出席者が会議室にシンクライアントを持参して集合することが一般化し、紙の配付資料なしでシンクライアントのディスプレイ上で参照する形の運用が無理なく行えるようになった。このことでペーパーレス化が実現されるなど、さまざまな導入効果が得られているという。当初からの課題だった、外出が多い社員が毎回帰社しなくてはいけないといった問題はもちろん解決され、さらには同氏自身が忙しい時期にインフルエンザに罹患(りかん)した際にも在宅で仕事ができるなど、働き方改革に直結する利便性が実現できていることが実感できたという。

課題に対する技術的なソリューション選定も慎重に実施
課題に対する技術的なソリューション選定も慎重に実施

 今回の事例では、ノートPCをシンクライアント化して活用するというシステムだからという理由もあるだろうが、“働き方改革のためのポイントソリューション”ではなく、情報漏えい対策からモバイルワーク/テレワークの実現、運用コスト軽減など、さまざまなメリットが複合的に得られる大成功の導入事例になっていると評価してよさそうだ。

 青葉社長が指摘するように、単に社員の長時間労働を是正するといったピンポイントの対応を考えてしまうと視野が狭まってしまいかねない。「本質的な生産性向上を実現するためにはどのような取り組みが必要か」という点を忘れないことが重要なのではないだろうか。

導入ソリューションのシステムイメージ
導入ソリューションのシステムイメージ

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