海外コメンタリー

企業のIT環境の進化とデータセンター、ソフトウェア定義の未来

Charles McLellan (ZDNet UK) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-12-25 06:45

 エンタープライズ企業は、費用の削減やパフォーマンスの改善、柔軟性向上などのメリットを求めて、ワークロードをクラウドや(最近では)ネットワークのエッジに移しつつあるが、それに従って従来型のオンプレミスデータセンターの役割も変わり続けている。調査会社Gartnerは、企業の10%が2018年時点で従来型のデータセンターを廃止しており、この数字は2025年までに80%まで増加すると予想している。一方でCiscoは、2021年にはワークロードやコンピューティングインスタンスの94%がクラウドデータセンターで処理されるようになり、従来型のデータセンターで処理されるのはわずか6%になるとみている。

 それでも、少なくとも今後数年間は、さまざまな(例えば技術的、経済的、セキュリティ的、コンプライアンス的な)理由で、ワークロードをホストするエンタープライズのオンプレミスデータセンターは残り続けるだろう。企業が今直面している大きな課題は、オンプレミスで利用しているアプリケーションのポートフォリオのクラウド導入に向けた準備の状況を評価し、自動化のレベルを上げることで、データセンターをより効率的かつアジャイルなデジタル変革のエンジンにする方法を見つけることだ。

 一部のレガシーなワークロードはオンプレミスに残され、従来型のITインフラ上で実行され続けるかもしれない。その一方で、多くのワークロードは、プライベートクラウドやハイブリッドクラウドで実行できるようにさまざまな形でモダナイズされるだろうし、また別のワークロードは、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure、Google Cloudなどをはじめとするハイパースケールパブリッククラウドで実行され、企業のオンプレミスデータセンターからは消えるだろう。最終的な形がどうあれ、多くの最高情報責任者(CIO)にとって、各ワークロードをもっとも適切なインフラに振り分け、それらを効率的に管理できるようにすることは重要な戦略課題だ。

 それには、自動化が重要な役割を果たすようになる。その際、管理ソフトウェア層でコンピューティング資源やストレージ、ネットワーク資源をオーケストレーションすることができるソフトウェア定義データセンター(SDDC)の登場は、大きな助けになるだろう。

 この記事では、これらの話題に関する最近の調査結果やレポートの要点を紹介しよう。

データセンターに関する今後のトレンド

 Uptime Instituteが実施した、データセンターに関する第8回の年次調査では、世界の900人のデータセンター運用技術者やIT実務家から集めたデータに基づいて、ITインフラ業界を動かす主なトレンドについて調査している。回答者の約7割はエンタープライズのITマネージャーであり、残る約3割はサービスプロバイダーに所属していた。

 調査結果に関するウェビナーで、Uptime Instituteの調査担当バイスプレジデントRhonda Ascierto氏は、回答者の約3分の1(31%)は過去1年間にデータセンターの障害を経験していたと述べている(2017年は25%)。そのうち80%は、直近の障害はヒューマンエラーと管理上の誤りの組み合わせが原因であり、予防可能だったと考えていた。障害の主な原因は、オンプレミスでの電源異常(33%)、ネットワーク障害(30%)、IT・ソフトウェアのエラー(28%)、オンプレミスでの電源異常以外の障害(12%)などだった。重要なのは、回答者の31%が、一般に可視性が低くコントロールが難しいサードパーティープロバイダーで発生した障害を経験していたことだろう。

 インシデントにおけるダウンタイムの平均は1~4時間だったが、10%強が24時間以上の障害を経験していた。回答者の43%は大きな障害の損害規模を算出していなかったが(関係する要素が多すぎることが原因かもしれない)、約半数が障害による損害は10万ドル未満だと考えている一方で、8人の回答者は1000万ドル以上の損害が発生したと答えている。Ascierto氏は、「ダウンタイムが発生すると確実に企業には痛手になる」と述べている。

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