「AIはいつかデータベースのような存在になる」--AI活用を進めるHPE

末岡洋子 2018年12月10日 06時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

 米Hewlett Packard Enterprise(HPE)が、人工知能(AI)を自社ハードウェアの運用効率化に積極的に活用している。11月中旬、HPEはAIオペレーションプラットフォーム「HPE InfoSight」をストレージからサーバにも拡大した。同月末にスペイン・マドリードで開催された「HPE Discover Madrid」で、AIと戦略・オペレーション担当バイスプレジデントのPankaj Goyal氏に、HPEのAI戦略全体について話を聞いた。

--HPEのAI戦略全体について教えてほしい。

Hewlett Packard Enterprise AIと戦略・オペレーション担当バイスプレジデントのPankaj Goyal氏
Hewlett Packard Enterprise AIと戦略・オペレーション担当バイスプレジデントのPankaj Goyal氏

 2つの方向で取り組んでいる。1つは、自社の製品をリッチにしたり、新しい顧客体験を実現したりするためのAI活用だ。AI主導のオペレーションのためのソフトウェア「HPE InfoSight」では、問題が発生する前に予測するなどメンテナンスを実現する。

 HPE InfoSightはNimble買収で獲得した技術で、Nimble、それに「HPE 3PAR」と拡大し、11月に「HPE ProLiant」「HPE Synergy」コンピュートモジュールなどのサーバにも拡大することを発表した。データセンターポートフォリオ全体に組み込んでいくというのが方向性だ。AIでは、ネットワークのHPE Arubaでも、侵入検知などAI主導のセキュリティ技術「Aruba Introspect」を持つ。

 2つ目は、顧客のAI受け入れの支援になる。AIは自動化、コスト削減、新しいビジネスのやり方など潜在性の高い技術だが、AIをいかに受け入れ、さらに拡張してもらうための製品とサービスの提供を考えている。

--ベンダーはどこもAI戦略を持っているが、HPEの差別化は?

 3つある。1つ目は、最も包括的なポートフォリオ。顧客がAIを受け入れるために必要なものをそろえている。3つの面があるが、まずはポートフォリオだ。AIはデータをエッジで収集し、コアのデータセンターに送り、モデルのトレーニングを行い、デバイスに送るという流れだが、これを実現する完全なポートフォリオがある。トレーニングでは、GPUベースの「HPE Apollo」があり、エッジでの推論では「HPE Edgeline」がある。

 2つめ目として、コンピュート、ストレージ、ファブリックをそろえている。深層学習のボトルネックは、GPUからファブリック、ストレージと迅速に移動させるところで生じている。われわれはストレージとファブリックも提供する。3つ目もボトルネックに関するものだが、メモリの問題は大きい。GPUはメモリの制約を受けている。そこで、HPEは新しいコンピューティングの方法としてメモリ・ドリブン・コンピューティングを開発している。深層学習モデル向けに大容量メモリ環境を用意でき、ワークロードを加速できる。

 差別化の2つ目の点は、エコシステムでの取り組みになる。オープンなアプローチで最適な技術を顧客に提供する。AIはまだ早期段階で、常に進化している。常に新しいISVなどプレイヤーが参入している。われわれは、ISV、システムインテグレーター、ハードウェアベンダーなどとの協業を通じて、最高の技術を顧客に提供する。顧客は自分たちが使いたい技術を使うことができるし、自社でデータをコントロールできる。自分たちのペースでAI戦略を進めることができる。例えば、AI向けのフラッシュベースのストレージシステム、アプリケーション固有のISVなどと協業しており、特別なソリューションを提供する。

 3つ目は専門知識だ。AIに特化した「HPE Centers of Excellence」を米国やフランスなど世界に設置しており、データサイエンティスト、AI開発者、ソリューションアーキテクトなどの専門家が、顧客がモデルのチューニング、固有のアプリケーション向けのエンドツーエンドでのアーキテクチャ構築などを支援する体制を整えている。

 このように、完全なポートフォリオ、エコシステム、専門性という3つの差別化要因により、AI分野で最高の技術をオープンな形で利用できる。重要なメリットは、AI導入の時間を短縮できることだ。顧客の最大の課題はスピード。AIの概念実証(PoC)をやり、すぐにでも最初の証拠を得たいと思っている。うまくいくかどうかを早く知り、それを運用環境にして、実際のメリットを得る。このサイクルの時間を短縮できる。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
ITアナリストが知る日本企業の「ITの盲点」
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]