朝日インタラクティブが運営するオンラインメディア「ZDNet Japan」と「TechRepublic Japan」の両編集長が2018年と2019年を語る新春企画。欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)をテーマとした第1回、RPAをテーマとした第2回から、話題はクラウドへ。
田中 好伸(TechRepublic Japan編集長):クラウドと一概に言ってもインフラからアプリケーションまで存在するけど、他のレイヤーではどうだろう。
國谷 武史(ZDNet Japan編集長):“PaaS”としては、人工知能(AI)や機械学習、アナリティクスなどのサービス、APIなどの機能強化の面がかなり表に出てきた感覚があります。プロバイダー側の強いプッシュもあった印象です。
同時にそれらをユーザー側が概念実証(PoC)的に取り入れ、新規ビジネスの構築を図る動きも顕著でした。“2018年はPoCの年”というフレーズを耳にしましたがまさしくその通りで、AIなど新しいテクノロジをフレームワークやアルゴリズムに当てはめて、楽に使いこなしたいというニーズから、プロバイダー側でのマネージドサービスの発展、新規ビジネスに使うための下地としての環境が整いつつある、と言っていいかもしれません。
SaaSはもはや一般化したといっていい状況ですね。会社標準の業務ツールとして取り入れることに何ら問題はなく、IT部門から見てもその方が運用も楽になるので好都合であるだけに、抵抗感はほとんどないといっていいでしょう。
まとめると、IaaSはある程度テクノロジが成熟し、自分たちの業態、規模に合わせて適切なインフラの選択、判断が可能なレベルにまで来た。PaaSは新規ビジネスを提供するためのテクノロジがそろってきた。SaaSはもはや一般化といえるでしょう。
TR田中:クラウドを組み合わせて使用するハイブリッドクラウドは、オンプレミスとパブリッククラウドを単純に併用するというイメージが今までは強かったよね。今、マルチクラウドと呼ばれているものも同様で、ある種サイロ化されていると言って良い。
今後はデータベースをAmazon Web Services(AWS)、アプリケーションはMicrosot Azureといった組み合わせ、AzureのアプリケーションをAWSやGoogle Cloud Platform(GCP)で動かすというような、アプリケーションを動かすという意味での可搬性を持ったマルチクラウドがもっと出てくる気がする。マルチクラウドという言葉の意味自体が変化していくだろうね。
(左から)ZDNet國谷編集長、TechRepublic田中編集長 撮影:山川晶之 (編集部)