ZDNet Japan編集部は12月4日、都内で「ZDNet Japan Summit 2018 攻めのIT経営を実現する4つのトレンド」を開催した。企業がデジタルを活用して新たな価値とビジネスを創出していくために必要な「攻めのIT」のアプローチについて、戦略・開発・インフラストラクチャ・現場改革の4つの視点で、セッションを通じて方法論を提示した。ここでは、ラックの働き方改革に関するセッションをお伝えする。
テーマは、「セキュリティのラックがこっそり教える『働き方改革との上手な付き合い方』」、登壇者はラックの理事 マーケティング部 シニアコンサルタントの槻山幸司氏。司会をZDNet Japanの藤本和彦が務めた。
働き方改革に成功している企業は全体の7%
槻山氏はシステムエンジニア(SE)で、主にシステム構築とセキュリティの融合というコンサルティング業務で活動している。その中で、2018年から自身が自社の働き方改革の推進メンバーとして活動した経験をもとに、働き方改革の担当者に向けて情報発信をしている。
ラック 理事 マーケティング部 シニアコンサルタント 槻山幸司氏
国を挙げて働き方改革への取り組みが進んでいるが、実際に成功している企業は少ないという指摘がある。この問題に関してまず槻山氏は、働き方改革に関するコンサルティングを実施しているクロスリバーの調査結果を紹介。それによると、上場企業のうち「働き方改革に取り組んでいる」のは87%、2年以上継続しているのが68%。成功しているのは12%で、全体では7%しか成功していないという。
そうなると、働き方改革は単なる足かせに過ぎないのかという懸念も生じるが、槻山氏は「この調査は働き方改革推進担当者へ成功か否かをインタビューした結果であるが、別の観点では企業の利益率が2年連続増加し、かつ社員の働き方満足度調査の数値が2年連続アップした企業は成功と回答した企業と重なりが多い。これは働き方改革に成功することが、客観的にも会社の成長にもつながっていると見ることができる」と、働き方改革は企業にとってメリットがあることを示し、うまくいかないのは取り組み方の問題であることを明らかにする。
働き方改革を成功させるため、まずは「目的をはっきりさせる必要がある」と槻山氏は語る。その目的とは「『会社の成長』と『社員の幸せ』の両立」だ。さらに「働き方改革は経営者が考えることで、企業として生き残っていくため実施すべき手段。両立は難しいが、経営トップが強く参画しないと成功しない」とする。
まず会社は、ビジョン、方針、仕組みなどをトップダウンで提示し、裁量権を社員に与える気持ちで覚悟を持って取り組む。そして社員は、働き方をどう変えていくか、主体的に考える必要がある。自由と承認を与えられている社員は、それによって働きがいを高め、成長と自己実現を達成していく。
「経営は何をやるべきか提示し、社員も会社がここまでやってくれているのだから自分たちもがんばらねばという両軸で、納得感を持って進めていくことが大切」と槻山氏は説く。