Windows 7はサポート終了時でも約1750万台が残存か--中小企業の対応が焦点

國谷武史 (編集部)

2019-01-15 14:41

 日本マイクロソフト代表取締役社長の平野拓也氏が1月15日、都内で記者会見を行い、2019~2020年に延長サポート終了(EOS)を迎えるWindows Server 2008/同R2やWindows 7などのユーザーの移行見通しなどについて言及した。最新の予測では、EOS時点でWindows Server 2008(R2を含む)が約17万3800台、Windows 7が約1750万5000台残存すると見られている。

記者会見した日本マイクロソフト代表取締役社長の平野拓也氏
記者会見した日本マイクロソフト代表取締役社長の平野拓也氏

 EOSの期限は、Windows Server 2008が7月9日、Windows 7とExchange Server 2008/2010が2020年1月14日、Office 2010およびSharePoint Server 2010、Project Server 2010が同10月13日となる。EOS後は原則として、サポート窓口での対応が行われず、セキュリティ更新プログラムも提供されなくなる。「セキュリティ脅威に無防備となり、社会の変化にも対応がしづらくなる」(平野氏)と警鐘を鳴らす。

 2018年12月時点のMM総研の調査結果に基づくマイクロソフトの推計では、稼働中のWindows Server 2008は約47万5300台、Windows 7は法人が約1581万2000台、個人が約1107万7000台。平野氏は、Windows Server 2008についてはMicrosoft Azureを中心とするクラウド環境への移行、Windows 7については「Device as a Service(DaaS)」とMicrosoft 365サービスを組み合わせたパートナー各社との共同施策などを通じて、ユーザーの移行対応を促す方針を示した。

Windows Server 2008の稼働予測(日本マイクロソフト資料)
Windows Server 2008の稼働予測(日本マイクロソフト資料)

 Windows Server 2008に関しては、現在ユーザーの52%が業務アプリケーションを稼働させるための部門サーバ、25%がファイルサーバ、14%がメールサーバ、9%が組み込み機器として利用されているという。メールサーバ用途のEOS対応では主にOffice 365への移行を推進しており、平野氏は、部門サーバとファイルサーバ用途の計77%の移行が焦点になると説明した。

 部門サーバ用途向けには、Azure環境への移行ツールの提供やパートナーらによるPaaS/SaaSへの移行支援が重点施策となっている。ファイルサーバ用途の移行支援策では、オンプレミスのファイルサーバのデータを専用デバイスに格納してAzureのデータセンターへ移送する「Azure Data Box」サービスと、オンプレミスにあるファイルとAzureのファイルを同期させる「Azure File Sync」サービスの2つを推進する。

Windows 7の稼働予測(日本マイクロソフト資料)
Windows 7の稼働予測(日本マイクロソフト資料)

 一方、Windows 7の移行対応ではオリックス・レンテック、大塚商会、パシフィックネット、横河レンタ・リース、富士通、VAIOの各社と、DaaS+Microsoft 365による月額課金のサブスクリプションのサービスを展開する。サービス内容の詳細はパートナーによって異なるが、ユーザーは常に最新のデバイスとセキュリティ対策を利用できるため、同社では経営とIT運用の両面でメリットが大きいとうたう。MM総研の1月時点の調査結果では、国内のDaaS需要は3%ほどだが、2020年には30%に急伸する見込みだという。この他に、個人向けではPCの春、夏、年末の各商戦期にキャンペーンも展開するとしている。

 平野氏によれば、Windows 7のEOSの認知度は大企業や公共組織では9割以上と高いものの、中小企業では60%台にとどまり、特に地方での認知度向上が課題だという。同社では、2018年11~12月に札幌や大阪など5都市でEOSをテーマにしたセミナーを開催、2019年2~3月も仙台や那覇など7都市でセミナーを行い、地方都市でのEOS対応を促進させたい考え。Microsoft 365 ビジネス本部 業務執行役員 本部長の三上智子氏は、「地方の中小企業ユーザーの認知度向上が大きな課題。地元のパートナーやメディアとの連携を通じて、移行を促していきたい」と述べた。

Windows 7のEOSに伴うパートナー各社の移行関連施策(日本マイクロソフト資料)
Windows 7のEOSに伴うパートナー各社の移行関連施策(日本マイクロソフト資料)

 また、5月1日に予定される新元号への移行対応について平野氏は、4月1日の政府発表に備えて米国本社の開発部門らと連携していると説明。1月2日に公開したOffice 2010やExcel 2010のアップデートでは新元号対応に関連するとされる不具合が発生したが、「品質確保に最大限努め、各方面と連携して5月1日の新元号開始に万全を期したい」(平野氏)とした。また、「(新元号対応の)アップデートのロールアウトを着実に行うと同時に、ユーザーが速やかにアップデートを適用する方策も肝心だ」と述べている。

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