一連のランサムウェア攻撃の背後にいるサイバー犯罪グループが、新種のマルウェアを配布している。ファイルを暗号化して身代金を要求するこのマルウェアは、すでに成功している2つの有名な亜種を組み合わせて、世界中の企業に攻撃を仕掛けているという。
「Phobos」と名付けれたこのランサムウェアは、2018年12月に登場した。CoveWareの研究者らは、「Dharma」ランサムウェアとの類似点を詳細に説明している。
PhobosもDharma同様、オープンなRDPポートやセキュリティが確保されていないRDPポートを介して、ネットワークに侵入する。ファイルを暗号化し、拡張子を「.phobos」に変更してロックし、復号のための身代金としてビットコインを要求する。
身代金要求のメッセージは、Phobosのロゴが追加されている以外は、文面もフォントもDharmaと全く同じもという。
提供:Image: Coveware
またPhobosとDharmaはコードもほぼ同じで、研究者らは「Dharmaのコードを大体カット&ペーストした亜種」だと説明している。
一方でPhobosは、Dharmaと関連性がある「CrySiS」ランサムウェアの要素も含んでおり、よく利用されているウイルス対策ソフトがPhobosをCrySiSとして検出している。ファイルマーカーによってDharmaと区別されるものの、攻撃手法や凶悪さは同じだ。
研究者らはブログ記事で、「ランサムウェアの種類は違うかもしれないが、Phobosの配布グループ、攻撃手法、身代金要求メッセージ、やり取りの内容は、Dharmaとほぼ同じであることは明白だ」と述べている。
Phobosが、Dharmaの犯罪グループによって配布されているのは、Dharmaが解読されたり、身代金を得るのに失敗したりした際に、攻撃を行う第2の選択肢としての保険的な意味合いがあるのだろう。
現在Dharmaは、2018年の最も危険なマルウェアの1つに挙げられている。
しかし組織は、RDPポートのセキュリティを確保する、定期的にデータをバックアップするなどの対策を講じれば、サイバー犯罪者の要求に屈することなくシステムを復元できるため、最悪の事態に備えることができる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。