矢野経済研究所(中野区)は1月23日、国内の民間企業を対象に統合基幹業務システム(ERP)や顧客関係管理システム(CRM)、営業支援システム(SFA)などのクラウド利用率の調査結果を発表した。SaaSの利用率は財務/会計、人事/給与などで横ばいが続く一方、CRM/SFAでの利用率は順調に上昇しているという。
対象は、財務/会計、人事/給与、販売管理、生産管理/サプライチェーン管理(SCM)などのERP、CRM/SFAといった業務システムやアプリケーションを導入している国内の民間企業528社。2018年7~11月に郵送でアンケート調査した。
2018年度の調査では、財務/会計システムを導入する495社でのSaaS利用率は2.8%で、人事/給与を導入する483社では5.0%。2012年の調査開始以降、ERPにおけるSaaS利用率は概ね横ばいで推移しているという。
アンケート結果では将来的に利用したいという意向が確認できるという。短期的に大きな伸長はないが、緩やかに増加すると予測。予測。ただし、基盤としてIaaS/PaaSを利用する形態が、SaaSに先行して拡大するとしている。
CRM/SFAを導入する132社のSaaS利用率は28.0%。過去と比較しても利用率が上昇しており、今後もSaaSを中心に導入が進むという。
システムの導入、更新計画がある企業に検討中の導入形態を尋ねた項目では、財務/会計165社のうち9.1%がSaaSでの導入を検討していると回答。同様に人事/給与89社の9.0%、販売管理146社では4.1%の回答となったという。高い比率ではないが、システム更新のタイミングでSaaSが検討される機会は増加していくと予測している。
販売管理や生産管理/SCMは企業ごとに業務内容が大きく異なるが、財務/会計、人事/給与は企業ごとの差が少なく、SaaSで提供しやすいという。ベンダーが提供するSaaSの種類も増加しており、長期的には緩やかに上昇していくとしている。
SaaSの利用率と次回更新時のSaaS導入予定(出典:矢野経済研究所)