TISとニュータニックス・ジャパンは2月1日、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向けて協業することを発表した。両社はメインフレームなど企業内でレガシー化したシステムを刷新するサービスを提供し、同日から共同でマーケティング活動を展開して、企業のDX推進を支援していく。
同日に開かれた記者会見で今回の協業についてニュータニックス・ジャパン コーポレートマネージングディレクター兼社長 町田栄作氏は「ベンダーロックインはしない。ニュートラルな“Nutanix Enterprise Cloud OS”を顧客に選択肢として提供する」、TIS 執行役員 インダストリー事業統括本部 公共事業本部 モダナイゼーションビジネス事業部長 矢野学氏は「顧客への基盤提案時は必ずNutanix Enterprise Cloud OSを提案するが、顧客が望む場合は異なる基盤も用意する」と述べた。
経済産業省が2018年9月に発表した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」では、8割の国内企業がメインフレームなど老朽化システムを保有し続け、約7割がDXの足かせになっていると記している。システムの長期運用はコスト増やブラックボックス化を招き、企業負担につながることは改めて述べるまでもない。
労働人口数の低下はIT人材不足を加速させることから、先のリポートで同省は国内企業のDXを推進し、課題を克服できない場合は現在の約3倍に相当する最大年間12兆円の経済損失が2025年以降に生じると警鐘を鳴らす。
ニュータニックス・ジャパン コーポレートマネージングディレクター兼社長 町田栄作氏
TIS 執行役員 インダストリー事業統括本部 公共事業本部 モダナイゼーションビジネス事業部長 矢野学氏
受注開発やシステムインテグレーター(SIer)業務を中心とするTISと、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)とその基盤ソフトウェアであるNutanix Enterprise Cloud OSを中核に展開するニュータニックス・ジャパンの両社は、日本企業を取り巻く環境を鑑み、日本企業のシステム刷新とDX推進を支援すべく、協業の運びに至った。両社の関係だが、2012年にTISがNutanix製品を仮想デスクトップ基盤(VDI)として採用したことから始まり、近年まで良好な関係を築き上げている。
TISは2017年4月から展開を始めた「Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」によって、事前の影響評価(アセスメント)やテスト、移行後の保守運用サービスを担う。また“リファクタリング(内部構造の最適化)”によるシステムの刷新を図り、ITを活用するアプリケーションで新たな価値創出を目指す。
XenlonはCOBOLやPL/Iといった旧来の開発言語で開発したシステムをJavaなどでリライトし、メインフレーム脱却後のリファクタリングや“エンハンストメント(さらなるシステムの改善)”などを目的としたモダナイゼーションサービス。過去には住宅金融機構の基幹システムのサポート終了に伴い、1000万ステップにおよぶCOBOLコードのJava化に成功。クラウドへの移行プロジェクトを39カ月で完遂している。
ニュータニックスは既存のオンプレミス環境に加えて、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)に代表されるパブリッククラウドと連携したハイブリッドクラウド環境を追加し、顧客企業に選択の幅を広げる。すでに同社のビジネスも大半はソフトウェアが中心となり、ハードウェア関連の収益は10%を切るという。
同社は「ビジネスの現場では、ワークロードをクラウドとオンプレミスで行ったり来たりしたい“良いところどり”を求めてる企業が多い。われわれはソフトウェアで(その世界を)実現したい」(町田氏)と自社ソリューションが持つ自由度の幅を強調した。