5Gはスマートフォン以外にどんな場面で使われるか--5つの用途を紹介 - (page 2)

James Sanders (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2019-02-25 06:30

3.消費者向けおよび医療用のウェアラブルIoTデバイス

 デバイスメーカーは、5Gを利用したモノのインターネット(IoT)デバイスは、人間と一緒に移動する可能性が高いと考えている。スマート家電はWi-Fiを利用できるため、必ずしも5Gを必要としない(例えば冷蔵庫を考えてみればいい)。しかし、スマートウォッチや家庭用の医療用生体情報モニターなどのデバイスに関しては、5Gが持つ電力消費の低さを生かして、薄いデバイスを作れるかもしれない。これは、LTEで接続する場合と比べて、同じ性能を実現するために必要なバッテリが小さくて済むからだ。

4.自動運転車の通信

 自動運転車のネットワークには、(自動車に内蔵された多数のセンサーから情報を収集したり、そのすべてに情報を送信するための)デバイス間通信手段が必要だ。これを実現するために標準化されているのがmMTC(大量マシンタイプ通信)だが、現時点では、この標準には従来のLTEのネットワークが使用されている。3GPPは今後、mMTCを改定する予定だ。

 ただし、mMTCは自動運転車の通信手段になるだけで、それとは別に付近の自動車にどのデータを送信するかを定めるプロトコルが必要になる。このプロトコルの標準化は、5Gの標準を定める団体である3GPPの守備範囲を超えている。

 また自動運転車などに必要とされる高精度な制御を実現するには、3GPPが検討している「超高信頼性・低遅延通信」(URLLC)と呼ばれる5Gの標準に頼る必要がある。

 Brightlinkの最高技術責任者(CTO)Joe White氏は、「URLLCは、自動運転車や配送用ドローンの安全な運用に役立つ技術で、その用途は幅広く、例えば遠隔手術、遠隔からの石油・ガス探査、遠隔カメラ監視、電気・ガス・水道の監視など、あらゆる業界や市場に関わってくると見られている」と述べ、さらに「これらの応用例はすべて、URLLCが提供する予定の、現在はまだ実現することが難しい、信頼性の高い超低遅延通信を必要とするものだ」と続けている。

5.将来のプロフェッショナルを育てる

 5Gのモバイルネットワークが広がれば、特定の基地局が転送可能なデータ量が、従来の家庭向けの有線インターネット接続サービスを上回る可能性がある。現在の携帯電話会社は(米国の場合)、「無制限」と銘打ったプランにギガバイト単位の課金を行ったり、データ量の上限を設定したりしているが、5G接続ではこういったことは比較的問題にならなくなると予想されている。

 有線インターネット接続の代わりになり得るモバイルネットワークが登場すれば、インターネット接続をスマートフォンだけに頼っている人々には大きなメリットになる可能性がある。Brookings Insitutionが発表した調査レポートによれば、ヒスパニック系米国人の35%、アフリカ系米国人の24%が「スマートフォンやその他のモバイルデバイス以外にオンライン接続を持っていない」のに対し、白人で同じ条件に当てはまるのは14%だったという。この格差が教育にも影響を与えており、レポートでは、ヒスパニック系とアフリカ系では、宿題にインターネットを利用している学生の割合が低いと指摘している。

 インターネット接続に潤沢な投資をする余裕のない家庭にとって、5Gは接続品質面での格差を埋める効果がある。宿題の調べ物だけでなく、動画を使った遠隔教育やオンライン教育を受けようとする学生も、有線のインターネット接続が不要になる。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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