リコーとシスコシステムズは2月26日、デジタルワークプレイスの実現に向けたクラウドソリューションの提供に関し、グローバルな戦略的提携に合意したと発表した。複合機とクラウドのシームレスでセキュアな連携によるサービスを展開していくという。
リコーは、1月8日に「RICOH Intelligent WorkCore」を発表した。これは、次世代カラー複合機「RICOH IM Cシリーズ」と、クラウドプラットフォーム「RICOH Smart Integration」を介して提供する各種クラウドサービスを組み合わせたもの。この結果、RICOH IM Cシリーズ複合機は紙ドキュメントの情報をデジタルデータ化するためのゲートウェイとなり、クラウドサービスとシームレスに連携した効率的なワークフローを実現することができるようになった。一方、複合機がクラウドサービスと接続することで、新たにクラウドセキュリティやネットワークセキュリティへの対応が必要となったため、この部分をカバーするテクノロジーパートナーとしてシスコとの戦略的提携が実現した形だ。
なお、リコーは2019年春から「RICOH Smart Integrationパートナープログラム」を展開してRICOH Smart Integrationと連携するアプリケーションの拡充に取り組むとしており、今回の提携はこの新しいパートナープログラムの先行例と位置付けられている。
リコー 代表取締役 社長執行役員 CEO(最高経営責任者)の山下良則氏は、シスコがグローバルで同社製複合機1600台を導入しているなどのエピソードを紹介し、両社の結びつきの深さを語った。また同氏は、IM Cシリーズに「クラウドへの招待状」というキャッチフレーズを付けていることに触れ、機器の前面に設置した大型タッチパネルを使ってクラウドアプリケーションやクラウドストレージを活用できるようにし、複合機の主要ユーザーである中小企業にとって従来はやや縁遠かったクラウドやITを使いやすくする重要な役割を担うと説明した。
協業でのフォーカスポイントは「ワークプレイス」「クラウド」「ネットワーク」の3つのレイヤ
その上で、同氏は複合機やスマートフォン、タブレットなどのデバイスがある「ワークプレイス」と「クラウド」、その間を接続する「ネットワーク」を3つのレイヤとして考え、その全てに適切なセキュリティ対策がなければユーザーは安心して使えないと指摘した。複合機を対象としたセキュリティ対策を以前から同社が実装していたが、新たに加わったネットワークおよびクラウドのセキュリティに関してはシスコのテクノロジを活用するとしている。
協業の具体的な内容についてリコー 執行役員 プラットフォーム統括本部長の野水泰之氏は、「社内システムのセキュリティ対策に従事する人材が不足している」「IT管理者が不在でセキュリティと言っても何をすれば良いか分からない」という課題を抱える中小企業が主な対象となるとした。その上で、今回の提携に基づく協業ソリューションとして現時点で「安心クラウド保管ソリューション」(クラウドセキュリティ)、「簡単ネットワーク設定ソリューション」(ネットワークセキュリティ)、「安全デバイス接続ソリューション」(デバイスセキュリティ)の3種類を想定していると述べている。
なお今後の予定では、2社による専属チームを発足させて4月に試験導入を開始するほか、9月からは本格販売していくという。
グローバルでの戦略的提携を発表したリコーグループとCisco Systemsの関係者