大日本印刷(DNP)と米国の流通小売大手のKrogerは、デジタルサイネージのシステム「Enhanced Display for Grocery Environments Digital Shelves(EDGE)」とその関連サービスを日本市場で展開するための共同研究を3月4日に開始した。
流通小売チェーンのKrogerは、スーパーマーケットなど約2800店舗(2019年3月現在)を北米で運営している。同社は、購入したい商品のバーコードを顧客のスマートフォンでスキャンして買物終了後にセルフレジで支払うことができるアプリ「Scan, Bag, Go」など先進的な小売サービスや関連技術の研究開発に投資を行っており、独自に開発したシステムをグループ各社の店舗に導入して改善を重ねることで、顧客満足度と業務効率化を高めているという。
EDGEは、店舗の商品棚の前面部分にリアプロジェクションスクリーンを搭載した流通小売向けのシステム。紙の値札の代わりに商品棚に設置され、商品価格や販促情報、栄養成分などを画面に表示する。既に、Krogerグループの店舗を中心に導入されている。
同システムの主な目的は、販売促進と店舗従業員の負担軽減である。広告宣伝や販売促進の管理システムと連携することで、広告やプロモーション情報を適切な時間、場所に表示することが期待される。なお、商品入れ替え時の棚割りデータや補充が必要な棚を表示することで作業を効率化し、値札の表示金額を瞬時に切り替えることで変更作業を自動化するという。
EDGE導入イメージ(出典:DNP)
2012年から開発が始められたEDGEには、DNPの小型プロジェクタ向け透過型スクリーンが搭載されている。今回両社は、DNPが持つ国内の流通小売業界におけるネットワークやプロモーション実績とKrogerの製品やサービスのノウハウを組み合わせることで、店舗のデジタル化による販売促進や日本の流通小売業界が抱える人手不足の解消などを目的とした共同研究を開始する。
DNPとKrogerは、EDGEを日本市場に提供していくため、ラボ施設を共同で運営していく。流通小売企業とも協力を進め、2019年末までのサービス開始を目標に、日本向けプロトタイプの実証、評価を共同で行う予定。加えて両社は、動画を使った顧客行動の分析やIoT機器センサを用いた在庫管理、顧客自身が行う商品スキャンや決済システムに関しても、日本市場向けのサービスを研究していくという。