NVIDIAは米国時間3月11日、Mellanox Technologiesを69億ドル(約7700億円)で買収する契約を締結したと発表した。グラフィックス市場や高性能コンピューティング(HPC)市場にとどまらず、より幅広いデータセンター分野の強化につなげる。
NVIDIAによると、同社は相互接続ネットーワーキングソリューションを手がけるMellanox株を1株あたり125ドル(約1万4000円)の現金で買い取るという。NVIDIAはIntelよりも高額を提示して今回の買収を実現したとみられる。買収の結果、以下のような展開が考えられる。
- NVIDIAとIntelの戦いが新たな段階に入る。
- NVIDIAは収益の多様化を実現するとともに、データセンター関連の売り上げを伸ばす。
- NVIDIAはMellanoxによって、HPC市場やデータセンター市場でさらなる足がかりを得られる。
- 人工知能(AI)関連のワークロードが一般的になるにつれて、NVIDIAとMellanoxはアーキテクチャ分野での戦略を強化していく。
両社はこれまで長期にわたりパートナー関係にあった。NVIDIAのコンピューティングプラットフォームとMellanoxの相互接続製品は、世界のスーパーコンピュータ上位500(TOP500)のうち、半分以上で採用されている。また両社は、ハイパースケールデータセンター市場だけでなく、クラウドサービスプロバイダーに対するさらなる足がかりを得ることになる。
Mellanoxは、InfiniBandテクノロジで最も知られている。InfiniBandは高速Ethernet製品とともに、システム間のデータ移送の高速化を実現する相互接続テクノロジだ。
NVIDIAは、Mellanoxのテクノロジを活用して、コンピュートやネットワーキング、ストレージといった、データセンターのワークロードを最適化していく。NVIDIAの最高経営責任者(CEO)Jensen Huang氏は、Mellanoxの買収には「データセンター規模の巨大なコンピュートエンジンを構築するために、インテリジェントなネットワーキングファブリック上にまたがる大量の高速コンピューティングノードを接続したホリスティックなアーキテクチャ」に取り組むという目的があると述べた。
Mellanoxの買収によって、NVIDIAは非GAAPベースの利益やキャッシュフローを徐々に増加させたいとしている。また、NVIDIAは高速ネットワーキング市場に足を踏み入れることも可能になる。
さらにNVIDIAは、システムの最適化を一層進められるようになる。Intelも取り組んでいる高性能システム市場での戦いで有利に働くかもしれない。
FBN SecuritiesのアナリストであるShebly Seyrafi氏は、リサーチノートに以下のように記している。
この買収によってNVIDIAとIntelの競争は、GPU分野にとどまらず、InfiniBand分野やEthernet分野に拡大していくだろう。
またこの買収で、データセンター規模のワークロードの高速化を可能にする、コンピューティングやネットワーキング、ストレージを横断したデータセンター規模のコンピューティングソリューションを提供するNVIDIAの能力が強化される。さらに、ハイパースケールデータセンターやエンタープライズデータセンター向け、そしてスーパーコンピューティングセンター向けの、次世代HPC/AIプラットフォームを進展させるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。