JALグランドサービス(JGS)とコミュニケーション・プランニング(CP)は4月8日、持ち運び可能なVR(仮想現実)技術を用いた訓練用シミュレーターを航空機のけん引訓練に導入したと発表した。

訓練イメージ(出典:JAL、CP)
JGSは、国内主要空港で航空機のけん引や手荷物と貨物搭降載作業などのグランドハンドリング業務を担う企業。航空機のけん引訓練は、時間や場所、使用機材などの制約があり通常、長期間の訓練が必要であるという。一方で、旅客需要の拡大により航空機けん引の取り扱い便数は増えており、必要な技術を持った人材の育成が課題となっていると説明する。こうした状況を受け、両社は、時間や場所に左右されずに訓練教育を行うことができるよう、航空機のけん引訓練用VRシミュレーターを共同開発したと話す。
今回開発したVRシミュレーターは持ち運びが可能であるため、これまで実施できなかった地方空港などでの訓練が可能になるとしている。また、通常の訓練では再現が困難な雨や雪といった気象条件を設定できることに加え、教官の指導を受けながら繰り返し、効果的かつ効率的な訓練が可能であると述べる。
加えて、VRの特徴である全方位の視野が再現されるため、平面モニターではできない「振り向く、のぞき込む」といった航空機をけん引する際の安全確保に必要な動作の確認にも対応していると話す。実際に体験した訓練教官からの評価も高く、今後はさらなる訓練プログラムの開発や、緊急時の操作訓練といった安全教育プログラムの開発も検討すると述べる。

教官による指導の様子(出典:JAL、CP)