情報処理推進機構(IPA)は4月12日、「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」の結果の概要を発表した。多くの企業がDXの必要性を認識しているが、IPAは現状を「まだ萌芽期」と分析している。
DXが自社に与える影響面では、デジタル技術の普及によって、58.7%が「自社の優位性や競争力の低下」、52.2%が「新たな代替製品・サービスの台頭」を挙げた。将来的に自社の競争力を維持できると考える年数は、28.3%が「約5年後」、22.8%が「約2~3年後」、21.7%が「約10年後」と回答し、大半は10年以内に競争力を失うと予想していることが分かった。また、9割以上が「ビジネス変革や新ビジネスの創出の必要性」を感じているとした。
現在のDXの取り組みでは、78.3%が「業務の効率化による生産性の向上」を挙げた。IPAが“DXの本来の目標に近い”とする「新規製品・サービスの創出」は47.8%だった。DXの現状の成果について、取り組みで最も多い「業務の効率化による生産性の向上」に関しても十分もしくはある程度成果が出ているとした企業は28.2%だった。
「DXの取り組みに関する成果の状況」(出典:IPA)
社内で「DX」という言葉を使う企業は34.8%(全社的もしくは経営層など一部のみの合算)で、Chief Digital Officer(デジタル担当役員)を専任で設置する企業は3.3%、Chief Information Officer(CIO:IT担当役員)が兼務するケースでも9.8%にとどまっている。
DXを推進する組織体制では、「専門組織にIT部門も関与」するケースが23.9%で最も多く、以下は「IT部門とその他部門」のケースが20.7%、「担当組織なし」が17.4%、「専門組織、IT部門の関与なし」が16.3%だった。
DXの担当者別の充足状況では、プロデューサーやデータサイエンティスト/AIエンジニア 、ビジネスデザイナーの3つで、「大いに不足している」と回答した企業が半数に上った。
「DX推進人材の不足感」(出典:IPA)
調査では、東証一部上場企業のうち1000社を対象にしたアンケート(回答は92社)と、DXに取り組む10社へのインタビューを行った。詳細は結果は5月に公開するという。