AMD、Crayが米オークリッジ研究所のエクサスケールスパコン「Frontier」開発で連携へ

Natalie Gagliordi (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2019-05-08 14:12

 米エネルギー省(DoE)は、オークリッジ国立研究所、AMD、Crayが連携し、1.5エクサフロップ以上の性能を持つスーパーコンピューター「Frontier」を開発する計画を発表した。このエクサスケールシステムは、AMDの「EPYC」CPU、「Radeon Instinct」GPUのテクノロジー、Crayの「Shasta」アーキテクチャーと「Slingshot」インターコネクトをベースとし、システムとテクノロジーの開発に関する契約は6億ドル(約660億円)を超えるものとなっている。2021年までに開発される予定とされており、実現すれば世界最速のスーパーコンピューターとなる可能性がある。

Frontier

 オークリッジ国立研究所のディレクターであるThomas Zacharia氏は記者発表会で、Frontierは誰も見たことのないような最も強力な人工知能(AI)マシンになると述べ、あらゆるコンポーネントがスーパーコンピューターの性能のために設計されていると説明した。稼働に入ると、天気、亜原子粒子構造、ゲノム科学、物理などの基礎研究とモデルなどに利用される予定だ。

 AMDの最高経営責任者(CEO)であるLisa Su氏は、CPUとGPUはともにスーパーコンピューティングとAI向けに最適化され、「Zen」アーキテクチャーの今後のバージョンを利用していると説明した。

 CrayのCEOであるPeter Ungaro氏は、Frontierはトップのスピードを誇るスーパーコンピューターを組み合わせたものよりも強力になると述べた。同氏は、エクサフロップが毎秒100京の演算性能に相当すると説明した。よりわかりやすく説明すると、地球上の全員が毎秒1つの計算を実行すれば、Frontierが1秒で実行するのと同じ演算をするのに6年以上かかるとUngaro氏は述べた。また、Frontierはスクールバス35台分に相当する重量、バスケットボールコート2面分の規模になると説明した。

 Frontierは、2021年までにシカゴのアルゴンヌ国立研究所に設置される予定のエクサスケールスーパーコンピューター「Aurora」に対抗することになる。AuroraはIntelの「Xeon Scalableプロセッサーとコンピューティングアーキテクチャー、パーシステンメモリー、ソフトウェアを搭載する。Crayは、Shastaアーキテクチャのほか、200台超のキャビネットやスケーラブルなインターコネクトであるSlingshotを提供している。

 技術アナリストのPatrick Moorhead氏は、AMDのスーパーコンピュティングにおける顧客の獲得は同社にとって重要なことだと分析している。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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