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AIや機械学習が変えるIT部門の仕事--人事と情シスのコンビも必要に

國谷武史 (編集部) 2019年05月09日 14時58分

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 ServiceNowの年次カンファレンス「Knowledge 19」が、米国ラスベガスで現地時間5月9日まで開催された。イベントテーマは「ワークフローのデジタル化」。同社は、人工知能(AI)や機械学習、チャットボットでIT部門の業務を変えていく方向性を示しつつ、これを企業内で展開するために人事部とIT部門が“コンビを組む”という事例も紹介した。

 IT部門の業務を大まかに見れば、事業に必要なシステムやサービス、PCなどITが関わるあらゆるモノやコトの企画、検討、設計、開発、構築、テスト、運用管理、ヘルプデスクまで非常に幅広い。業務ごとあるいは事業や組織の構造に応じて担当する人材は多岐にわたり、所帯の大きなIT部門では分業化がなされている。

 一方で「デジタル変革」の文脈から、IT部門では事業を迅速に展開するためにDevOpsのような変化への対応が課題になっている。しかし、分業化された従来のIT組織だと、スピード重視の開発と安定性重視の運用管理では根本的に業務における性質が違うため、DevOpsの実践が難しいこともある。「開発」に絞って見ても、仮想化やクラウド化によってウォーターフォール型からアジャイル型への変化が課題であった。

ServiceNow チーフイノベーションオフィサーのDave Wright氏
ServiceNow チーフイノベーションオフィサーのDave Wright氏

 会期2日目の基調講演に登壇したチーフイノベーションオフィサーのDave Wright氏は、分業化された組織の中には異なる担当チームあるいは人の間に“摩擦”があり、これが「ITの目的はビジネスに価値をもたらすこと」というIT部門の役割を阻害していると指摘した。

 同社は「Now Platform」と呼ぶPaaSを基盤に、SaaSとしてITサービス管理やIT運用管理などの機能を提供している。SaaSはいわば職種や業務に合わせたソリューションだが、Now Platformは異なる職種や業務のユーザー同士を“つなぐ”基盤と位置づける。Now PlatformにAIや機械学習、チャットボット(同社では「Virtual Agent」と呼ぶ)を組み込み、これらのテクノロジーをSaaSで利用することにより、“摩擦”のないチームや担当者同士のスムーズなワークフローを実現しようとしている。

DevOpsとしては、「Now Platform」と各種の開発環境が連携している
DevOpsとしては、「Now Platform」と各種の開発環境が連携している

 この同社のアプローチは、前回2018年の同カンファレンスで発表された。今回は既に提供済みもしくは次期バージョン「New York」で提供される機能によって可能になるとし、そのポイントは可視化をベースとする(1)俊敏性と安定性を兼ね備えたDevOpsの実現、(2)インテリジェンスによる能動的な業務の実行、(3)「チケット」で管理しないAI利用のセルフサービスだという。

 まずDevOpsの現状について、シニアバイスプレジデント兼ITワークフロー製品担当ゼネラルマネージャーのPablo Stern氏は、「運用管理から見れば開発者は新機能のリリースをラッシュさせる『カウボーイ』」と表現する。一方、バイスプレジデント兼DevOpsおよびITビジネス管理担当ゼネラルマネージャーのRJ Jainendra氏は、「(運用管理側との)コラボレーションが貧弱で可視性もないことから、システムの変更が承認されるまで20日以上もかかることがある」と指摘する。

 その打開策として示したのが「DevOps」(限定版で提供中)や「Portfolio for Scaled Agile Framework」(提供中)の機能になる。ここではJiraやGitHub、Jenkinsなどの開発ツールとNow Platformをつなぎ、開発者のコミットの状況や過去に行った変更要求の状況といったデータを運用管理側でもひと目で把握したり、ワークフローの自動化を設定したりできる。

 Jainendra氏は、「可視性を高めることでコラボレーションが深まり、俊敏性を確保しながらリスクの少ないリリースが可能になる」と強調した。

JenkinsのパイプラインとServiceNowのダッシュボードの情報が連動しているデモ
JenkinsのパイプラインとServiceNowのダッシュボードの情報が連動しているデモ
ServiceNowのダッシュボードで開発者の過去のコミットや運用管理側への変更依頼の推移などが把握できる
ServiceNowのダッシュボードで開発者の過去のコミットや運用管理側への変更依頼の推移などが把握できる

 次に(2)では、初日の基調講演でも触れたNew Yorkで提供予定の「Operator WorkSpace」やアラート対応を効率化する「Alert Intelligence」(提供中)、セキュリティーインシデント対応を省力化する「No-Code Security Playbooks」(提供中)を取り上げた。

 Operator WorkSpaceでは、Alert Intelligenceの分析によって運用管理者に対応優先度の高い順にアラートやイベントの発生が通知され、運用管理者はそこから詳細な状況を確認してその場で修復対応などの作業に入るイメージだ。優先度の低いアラートなどを自動処理するようにして担当者の負荷を軽減する。「これによって、これまで受身的だったアラートやイベントへの対応を能動的に実行できるようになる」(プリンシパルソリューションアーキテクトのBen Yukich氏)

 例えば、セキュリティー関連のイベントが発生したなら、Operator WorkSpaceからCSIRTに対応をアサインする。このワークフローを事前にNo-Code Security Playbooksで規定しておけば、迅速な対応によって、システムやデータへの被害抑止につなげられる。

 (3)では、一般的なチケット管理によるヘルプデスク対応などをAIやチャットボットで自動化し、セルフサービスに変えてしまう。ここではNew Yorkで提供を予定する「Natural Language Understanding(自然言語理解)」や「Dynamic Translation(動的翻訳)」をモバイルアプリのVirtual Agentと組み合わせるデモを見せた。

AIや「自然言語理解」技術を組み込んだモバイルのVirtual Agentに話しかけるだけでパスワードをリセットしてくれる。メールやウェブ経由でユーザーがリセットするような手間がない
AIや「自然言語理解」技術を組み込んだモバイルのVirtual Agentに話しかけるだけでパスワードをリセットしてくれる。メールやウェブ経由でユーザーがリセットするような手間がない

 例えば、パスワードを忘れた従業員は情シス担当者にパスワードのリセットをメールや電話、口頭で依頼するのが一般的だ。デモでは、パスワードを忘れた従業員がまずiPhoneのSiriに話しかけてVirtual Agentを起動させ、今度はVirtual Agentにパスワードのリセット依頼を話かける。Virtual Agentが依頼を受け付けると、従業員にiPhoneのFaceID(顔認証)操作を依頼する。従業員が認証を完了すると、瞬時にVirtual Agentがパスワードをリセットしてくれる。

 このように人が行うヘルプデスク対応がセルフサービスになり、従業員が文字や数字などを一切入力する手間にない。ITサービスマネジメント ゼネラルマネージャーのMatt Schvimmer氏によれば、こうした仕組みは、多様な国籍、文化の従業員を抱えるグローバル企業で、従業員に喜ばれる“体験”を提供できるようにするという。

 ゲストスピーカーとして登壇したShellのITインテグレーション バイスプレジデントを務めるLyne Germain氏は、地球温暖化の抑止に向けて同社ではITの活用が不可欠であり、IT部門人材の高度化が課題だと話す。それには業務の効率化や自動化によってスキル育成の機会を確保する必要があり、ServiceNowを導入することで、独自のIT部門育成プログラムを実施していると紹介した。

ShellのIT環境。この状況でIT部門の人材を強化するには、既存業務の効率化や自動化を進めていくしかないという
ShellのIT環境。この状況でIT部門の人材を強化するには、既存業務の効率化や自動化を進めていくしかないという

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