ガートナー ジャパンは5月30日、2019年のデータ/アナリティクステクノロジトレンドのトップ10を発表した。これらは今後3〜5年間に重大なディスラプション(破壊)をもたらす可能性のあるものとしている。
具体的な項目として、「拡張アナリティクス」「自然言語処理(NLP)/会話型アナリティクス」「継続的なインテリジェンス」「商用AIとML」「説明可能なAI」「グラフ」「拡張データ管理」「データファブリック」「ブロックチェーン」「パーシステントメモリーサーバー(不揮発性メモリーサーバー)」が挙げられている。
「拡張アナリティクス」は機械学習(ML)と人工知能(AI)の手法を用いて、分析対象となるコンテンツの開発、利用、共有方法を変革する技術。ガートナーでは、2020年までに、データサイエンスとMLのプラットフォームと同様、アナリティクス/BI(ビジネスインテリジェンス)および組み込み型アナリティクスの新たな購入を促す主な要因となるとしている。
「自然言語処理(NLP)/会話型アナリティクス」は、データに関する問い合わせをしたり、表示された洞察の説明を得たりするための操作をより容易にする。データに対するクエリに自然言語を活用することで、一般的なビジネスユーザーであっても、データとアナリティクスをより簡単に利用できるようになる。ガートナーでは、2020年までに分析クエリーの50%は検索やNLP、音声を通じて生成されるか、自動生成されると予測している。
「継続的なインテリジェンス」はリアルタイムのアナリティクスをビジネスプロセスに統合するもので、常に最新のデータを分析してイベントに対するアクションを処方し、意思決定の自動化やサポートを行う。2022年までに新たに構築される主要なビジネスシステムの半数以上が、より良い意思決定のためにリアルタイムのコンテキストデータを使用する、継続的なインテリジェンスを導入するとガートナーは予測している。
「商用AIとML」についてガートナーでは、2022年までにAIとMLの手法を活用した新規エンドユーザー向けソリューションの75%が、オープンソースプラットフォームではなく商用ソリューションによって構築されると予測している。
「説明可能なAI」では、人の意思決定を支援したり、肩代わりさせたりすることを目的にAIを導入するケースが増える中、説明責任を果たすにはAIがなぜそのように結論付けたのかを理解しなくてはならないことが指摘されている。説明可能なAIは、モデルを説明した上でその長所と短所を明らかにし、起こり得る行動を予測して潜在的なバイアスを特定する一連のケイパビリティーを提供する。
グラフアナリティクスは、組織、人、トランザクションなど重要なエンティティー間の関係を分析する手法で、グラフ処理とグラフDBMS(データベース管理システム)のアプリケーションは、2022年まで年間100%成長し、データ準備を継続的に促進して、より複雑でアダプティブなデータサイエンスを実現する見込みだという。
「拡張データ管理」は、MLとAIを活用して、データ品質管理、メタデータ管理、マスタデータ管理、データ統合、DBMSなどを自己構成型および自己調整型へと進化させる。手動で行われている多くのタスクを自動化するとともに、技術的なスキルの低いユーザーであってもデータを用いてより自律的に作業できるようになる。
「データファブリック」は一貫性のある単一のデータ管理フレームワークによって、通常はサイロ化してしまう分散したデータへのフリクションレスな(摩擦のない)データアクセスを可能にする。ガートナーでは、2022年末にかけて、主に静的なインフラストラクチャーとしてデータファブリックが導入されるものの、より動的なインフラストラクチャーにするために全面的な再設計を行うコストが発生するとしている。
「ブロックチェーン」についてガートナーでは、主要なブロックチェーンのテクノロジーが絞り込まれるまで、数年間はかかると見込んでいる。それまでの間、ブロックチェーンの先行きに注目し、技術を理解して常に検証しておく必要があるという。
「パーシステントメモリーサーバー(不揮発性メモリーサーバー)」はDRAMとNANDフラッシュメモリーの間に位置する新しいメモリー階層であり、高い性能を求めるワークロードに対し、コスト効率に優れた大容量のメモリー空間を提供する。ガートナーでは、データ量の増大するペースだけでなく、データからリアルタイムに価値を抽出する必要性も、急速に高まっているとし、新しいサーバーには、処理性能の高いCPUだけではなく、大容量のメモリーと高速なストレージも必要だとした。