J.D. Powerの調査によると、航空会社の満足度はモバイルアプリやキオスク端末、デジタルチェックインなどのITツールに対する投資によって向上している一方で、機内インターネットサービスやエンターテインメント体験については改善が必要なようだ。
まず全体を見ると、J.D. Powerが発表した「2019 North America Airline Satisfaction Study」(2019年北米エアライン顧客満足度調査)では、航空会社の総合的な顧客満足度が過去最高レベルに達したことが明らかになった。格安航空会社の人気が低下する一方で、従来の航空会社が最も大きな伸びを示した。
テクノロジーは顧客満足度のスコアと密接に関係している。J.D. Powerでトラベルインテリジェンスを率いるMichael Taylor氏は、テクノロジーによってチェックインと予約の手続きが改善され、総合的な評価を押し上げたと語る。航空会社の総合満足度は、1000ポイントの中で11ポイント増の773ポイントとなった。
Taylor氏は、予約とチェックインについては、航空会社が提供する顧客体験の中でも最も満足度の高い部分だったと説明する。「これらの2つは、どちらもテクノロジーが大きな要因を占めている。予約システムはソフトウェアとウェブで動いており、航空会社は直接予約(ダイレクトブッキング)の仕組みをもっとうまくできないかと考えている」(同氏)
チェックインの体験は、キオスクシステムの効率性によるところが大きい。Taylor氏は、「チェックインプロセスは着実に改善されてきた」とし、「並びたくないと考えるのは人間の常だ。アプリとキオスクを使えば、そのほとんどあるいは全てを避けることができる」と話す。
一方で航空会社は、機内インターネットとエンターテインメントサービスの提供に苦労しているようだ。Taylor氏によると、こうした機内サービスの課題は、テクノロジーでの解決が困難なことがあるという。
「機内エクスペリエンスは全ての航空会社が遅れている」とTaylor氏は指摘する。「座席の裏側に画面を設置し気軽に利用できるようになっているが、95%の利用者は自分の端末を持っている」
また、Taylor氏によると、機内モニターには維持と費用の問題があるほか、機材設置に伴う航空機の改装によって稼働停止とコストも発生すると説明する。
その結果、航空会社は機内インターネットサービスの提供を選んだわけだが、ストリーミングは利用できないか、使いづらい場合もある。たとえGogoのような企業が接続業者だとしても、不快な体験の責任は航空会社が負うことになる。
Taylor氏は、機内インフォテインメントは改善の余地があり問題の約80%が解決されるはずだと述べる。ただし、「それにはとてもお金がかかる」と付け加える。
Taylor氏によると、機内インターネットサービスは、期待されているものから5年ほどの遅れをとっているようだ。また、サービスの使用感は同じ航空会社であっても飛行機によって大きく異なっている。
また、航空会社の顧客はいずれ、システムが記憶しておくことで、自宅と同じように即座にインターネット接続できるようになるだろう、とTaylor氏は話す。IDと自動ログインは、ロイヤルティープログラムの識別によって有効になる。「今から8年後には、まるで自宅にいるかのように機内エクスペリエンスにアクセスできるようになるだろう」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。