日立ら、非英語圏で発行される特許文献の調査を支援--技術開発競争を受けて

大場みのり (編集部)

2019-06-26 17:40

 日立製作所は、クラリベイト・アナリティクス・ジャパンと海外特許文献の調査を効率化するサービスを共同開発し、7月17日から日立の特許情報提供サービス「Shareresearch」のオプションサービスとして販売すると発表した。

 クラリベイト・アナリティクス・ジャパンは、学術情報・知的財産・ライフサイエンスに関する情報サービス企業Clarivate Analyticsの日本法人。同サービスの月額使用料は税別18万円からで、シェアリサーチの導入が前提になる。

 世界59の特許発行機関が発行する30言語以上に上る約8400万件の海外特許情報を翻訳・要約したクラリベイトの特許データベース「Derwent World Patents Index(DWPI)」をシェアリサーチ上で閲覧でき、効率的に海外特許文献を理解することが可能になる。

 また、DWPIのコンテンツと学術情報を搭載したクラリベイトのプラットフォーム「Derwent Innovation(DI)」も併せて利用する顧客企業は、DIで検索・分析した結果を取り込み、シェアリサーチ上で共有できる。

 多くの企業では海外事業の進展に伴い、海外特許情報を分析した戦略立案が推進されている。一方、国際的な技術開発競争は激化しており、中国やドイツ、ASEANなど非英語圏で発行される海外特許文献が増加。結果として、海外特許に関する調査量が20~40%増加していると日立は説明する。また海外特許文献は、記載される言語が多岐に渡るほか、各国の記載ルールも異なるため、読解が非常に困難といわれている。そのため、特許分野の専門知識や外国語の習熟度に関わらず、海外特許文献の理解を支援するサービスが求められているという。

 今回のサービス開始に先立ち、両社は2018年11月、知的財産分野の市場活性化を目的としたサービスの開発に向けて協業を開始した。シェアリサーチの顧客企業であるブリヂストンや村田製作所においてプロトタイプ検証を進め、高度に翻訳・要約されたクラリベイトの海外特許情報の活用により、一定時間内に読解できる件数が約40%増加するなど、効率的な海外特許文献の読解につながると確認した。また、三菱マテリアルなど、多くの企業で、評価検証を実施している。

 同サービスの特徴は、以下の通りである。

高度に要約・翻訳された海外特許文献による調査の効率化

特許調査時は、原文タイトルと抄録(要約)から発明内容を推測して当該特許を検索するが、特許文献に非英語圏のものが含まれる際は、この方法で発明内容を推測することは難しい。同サービスは、DWPIから引用された翻訳タイトルと抄録を英語や日本語で表示することで、発明内容の推測を支援する。加えて、抄録は新規性や用途、優位性など項目別に要約可能なため、利用者は容易に発明内容を把握でき、海外特許文献の調査時における負荷の低減が期待される。

(出典:日立製作所)
(出典:日立製作所)

特許関連情報の社内共有で調査業務の分担を促進

シェアリサーチは、知的財産部門のほか、研究開発部門や営業部門などさまざまな部署において利用することで、知的財産分野に精通する社員の調査結果などを関係者間に迅速に共有し、読解作業を研究開発部門と分担するなど、業務の効率化を促進できる。加えて、学術情報などとも連携した高度な調査が必要な際は、DIの検索結果もシェアリサーチ上で共有することで高度な調査が可能になる。

サービスの概要イメージ(出典:日立製作所)
サービスの概要イメージ(出典:日立製作所)

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