1883(明治16)年創業と今年で136年を数え、国内外における総合建設業を営む飛島建設は、ファイル共有基盤に「Dropbox Business」、コミュニケーション基盤に「Office 365」を採用し、建築業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)化で395%の投資利益率(ROI)を実現したという。
Dropbox Businessの導入対象人数は487人、導入現場は累計91。導入直後1年目の人件費削減効果は170%(約6000万円)、2年目は280%(約1億2000万円)、3年目は350%(約1億8000万円)、そして4年目は約2億4000万円。ITインフラによるコスト削減効果は約600万円と通年変わらないものの、Dropbox Businessのコストは約2460万円、約3350万円、約4240万円、約5100万円と増加傾向にあるものの、人件費削減と比較すれば、わずかな額といえる。
Dropbox Businessを活用している同社の管理本部 情報システム部 課長 小澤敦氏が6月20日に開催されたイベント「Dropbox Connect 2019 in Tokyo」に登壇。「飛島建設のDropbox活用事例から学ぶ! 情報共有基盤の導入から定着までに大事な4つのポイント」と題して講演した。
飛島建設 管理本部 情報システム部 課長 小澤敦氏
Dropbox Businessの導入効果として小澤氏は「建設現場ではエンジニアが事務所内にとどまらず、作業現場に訪れて指示や確認する時間が必要。他方で事務所にあるデータをもとに本社との連絡で、建設現場と事務所を行き来せざるを得ない。(Dropbox Business導入後は)いつでもデータにアクセスできるため、時間短縮の効果は大きい」と語る。
ITの導入効果は部門ごとに異なるのは、建設企業も一般企業も同じだ。飛島建設はIT部門におけるDropbox Business導入の利点として「NAS管理と事務所内のLAN管理からの解放」と「情報の属人化抑止」を掲げた。
建設現場の効果として監督者レベルでは「工事状況を自ら確認」、所長レベルは「どこでも図面の確認」「工事前の情報共有」「工事中のデータ紛失から解放」、そして若手は「先達の事例を参照できる」といった多くの利点を披露した。
企業がITを選定する際は、課題意識の確認から始まり、情報収集で仮選定したものから現場評価を進めていく。飛島建設も例に漏れず同じ工程をたどっているが、同社は「現場担当者に長期の試用期間を設けた」(小澤氏)と、導入するクラウドストレージが現場レベルの業務に適合するものなのか比較と選定を重ねたという。
同社は既存のデータセンターをMicrosoft Azureに移行済みであるため、Azure Backupなども検討したが、現場の生産プロセスに問題があり、「無駄な時間を徹底的に排除することに焦点を当てた」(小澤氏)結果、クラウドストレージの選定に至ったという。