サイバー犯罪の組織化、産業化というセキュリティトレンド--HPEとFBIが指摘

末岡洋子 2019年07月04日 06時00分

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 サイバーセキュリティの問題は一向に軽減に向かう気配がない。それどころか、高度化、組織化によりますます対策が難しくなっているという。Hewlett Packard Enterprise(HPE)が6月に米ラスベガスで開催したイベント「HPE Discover Las Vegas 2019」では、HPEの幹部が米連邦捜査局(FBI)のコンピューターセキュリティ担当、顧客企業などを招き、サイバーセキュリティの現状と課題について語った。

 このセッションに参加したのは、HPE バイスプレジデント兼最高情報セキュリティ副責任者のDrew Simonis氏、サーバーソフトウェアと製品セキュリティ担当ディレクターのBob Moore氏、HPE Arubaでマーケティングおよびセキュリティソリューション担当バイスプレジデントのLarry Lunetta氏、FBIでコンピューターセキュリティを担当するJames Morrison氏、CyberHound 最高経営責任者(CEO)のJohn Fison氏である。

左からHPE ArubaのLarry Lunetta氏、HPEのDrew Simonis氏、FBIのJames Morrison氏、HPEのBob Moore氏、CyberHoundのJohn Fison氏
左からHPE ArubaのLarry Lunetta氏、HPEのDrew Simonis氏、FBIのJames Morrison氏、HPEのBob Moore氏、CyberHoundのJohn Fison氏

 サイバーセキュリティのトレンドとして真っ先に挙げられたが「組織化」だ。現場をよく知るFBIのMorrison氏は、「サイバー犯罪が組織化されて犯罪行為をオペレーションしている。かつてないことだ」と語る。数年前は犯罪件数の半分を占める(残り半分は個人)に過ぎなかった組織化された行為が急増しているというのだ。

 組織化した犯罪グループが好んで用いるのがランサムウェアだという。Morrison氏らによると、犯罪グループは、ランサムウェアを使った攻撃に必要な“部品”をそろえるために、ダークウェブを活用している。

 「(グループはサイバー犯罪向けの)サービスにログインし、10万件のメールアドレスを50ドル程度で購入する。しかも24時間のカスタマーサービスも付いている」とMorrison氏、ランサムウェアもダークウェブから調達し、10万件のアドレスにリンク付きのメールを送る。「10万件のうち5%程度がクリックすれば5000件だ。このうちの1000件が400ドルの身代金を要求するランサムウェアに引っかかれば、(グループは)40万ドルを獲得できる。これが今起きていることだ」と続ける。なお、5%が引っかかるという比率は「低い見積もり」というから、「ランサムウェア購入を含め合計250ドル程度」の投資に対する効果(身代金の獲得)は、さらに高くなると推測される。

 HPEのSimonis氏は、この状況を「サイバー犯罪の産業化」と呼ぶ。「(サイバー犯罪の)複雑なサプライチェーンが発達し、専門化が進んでいる。知識がない人でも情報があればマネタイズできるマーケットプレイスがある」とSimonis氏。企業のサプライチェーンさながらの仕組みが出来上がっているという。

 さらに、サイバー犯罪の問題の1つは「クレジットカードの窃盗が簡単という点だ」(Morrison氏)とされる。例えばテレビを盗んで質屋に入れるのと同じで、クレジットカードを盗んで利益に変える――フィッシング攻撃がいまだにこの種の犯罪の90%を占めるとされる理由だ。

 加えてMorrison氏は、このような犯罪グループの運営が「企業のようだ」とも指摘する。まるでCEOがいて、ミーティングがあり、投資から得た利益で性能の良いコンピューターを調達しているとのことだ。最近では、人工知能(AI)への投資も進んでいるという。「AIを使って、(フィッシングに)反応したメールアカウントの特徴などを分析し、攻撃の構造を“改善”させている」(Morrison氏)。マルウェアの多くが仮想通貨マイニングを行うものであり、これら全ての利益を計算しているとも続けた。

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