アイ・ティ・アール(ITR)は7月18日、国内の就業管理市場予測を発表した。2018年度の売上金額は前年度比14.2%増の141億円。2019年4月1日から施行されいる働き方改革関連法での有給休暇の取得管理、長時間労働の抑制対応必須化を背景に、比較的高く伸びるという。
就業管理強化は勤務状況に伴う労働訴訟への備え、従業員のモチベーション向上、離職率の改善などの点からも必須。2019年度以降の市場も高い伸びが継続するとしている。
提供形態別では、2017年度にSaaSが前年度比22.5%増の大幅な伸びを記録。初めてパッケージの売上金額を上回ったという。2018年度以降もSaaSを選択する企業が増加し、2022年度には全体の約7割を占めると予測している。
ITRのプリンシパル・アナリストの浅利浩一氏は、「新規売り上げに占めるSaaSの割合が2017年度に7割を超えた経費精算市場に比べ、一定数オンプレミスのパッケージを選択する企業が存在することが就業管理市場の特徴。複雑な要件や他システムとの連携が多い大企業、公共や公益などクラウドへのシフトが本格化していない業種でパッケージの選択が多いことが理由にある。パッケージ専業ベンダーがSaaSを新規開発、出荷や販売強化を図りつつあり、自由度の高い就業管理ニーズが継続して高まる点などを考慮すると、短期間でSaaSへ大きくシフトする可能性もある。2020年の調査ではこうした動きや変化の兆しに注目する」とコメントしている。

2016~2022年度の就業管理市場規模推移および予測(出典:ITR)