越谷市は、IoT(モノのインターネット)を活用したメロンの水耕栽培に取り組む。富士通と共同で研究を進めており、期間は2020年3月31日まで。同市内の農業技術センターを実験の場にする。
小型PC「Raspberry Pi」を用いたデータ収集システムを富士通が開発。温度、湿度、照度、二酸化炭素(CO2)濃度などの環境データをビニールハウス内のセンサーで集め、クラウド上に蓄える。メロンの栽培環境が収穫量や品質にどのような影響を与えるかを解析する。収集データや育成状況は、スマートフォンやタブレットから確認できる。

共同研究の流れ(出典:富士通、以下同)

収集データをモニタリングする様子
セキュリティ面では、トレンドマイクロの「Trend Micro IoT Security(TMIS)」を実装し、事前に許可されたアプリケーション以外の起動を抑止する。登録アプリケーションの改ざんを防止するホワイトリスト機能も活用する。サイバー攻撃によるシステム停止や不正なプログラムが実行されるリスクを抑制する。機器本体の物理的な堅牢化も図られている。
同市では、高い収益の見込める農作物としてメロンに着目。年3回の収穫が可能な町田式水耕栽培装置を使った試験栽培を2018年度から始めている。同装置は放射状の流れに揺らぎを加えた水流で養分の吸収を促進させ、収穫が多く食味の良い野菜の栽培を可能にする。今後、栽培のノウハウを市内の農家に広げ、イチゴに続く農業振興の柱に育てていくことを目指している。今回の研究では、収集データから収支・経営モデル、水耕栽培のマニュアルを作り、市内の農家や企業に情報提供していく。