ガートナー ジャパン主催の「ガートナー セキュリティ&リスク・マネジメントサミット2019」が8月5~7日に開催された。会期2日目の基調講演にはシニアディレクター兼アナリストの礒田優一氏が登壇、「日本におけるセキュリティの重要アジェンダ:2019年」と題し、2020年に向けてセキュリティリーダーが議論すべき重要なセキュリティの議題を取り上げた。

ガートナー ジャパンでシニアディレクター兼アナリストを務める礒田優一氏
冒頭で礒田氏は、昭和、平成、令和という時代の流れを通してセキュリティを取り巻くテクノロジー環境と脅威の内容が変化したことを示した。脅威についてはサイバー攻撃が増し、内部不正や個人情報保護法、プライバシーなどの議論も進んでいる。
こうした時代の変遷の中、具体的なセキュリティ施策として何を目指すべきなのか――シンプルな答えは「アダプティブセキュリティ(目的と状況に応じたセキュリティ施策)」だ。「アダプティブセキュリティは原理原則であり、いつまでも変わらない」(磯田氏)
アダプティブセキュリティは、500年前の日本の城にも通じると磯田氏は指摘する。城には、縄張(Predict:予測)、石垣(Prevent:防御)、天守閣(Detect:検出)、武者走(Respond:応答)の4つの要素がそろっている。
原理原則は不変だが、継続性と自動化が進化
アダプティブセキュリティという原理原則は変わらないが、近年になって、コンティニュアス(継続性)やリアルタイム性といった要素が加わり、進化を遂げている。ガートナーでは、コンティニュアスの「C(Continuous)」を付けて「CARTA」(継続的でアダプティブなリスクとトラストのアセスメント)と呼ぶアプローチを提唱している。
CARTAのアプローチを採用したプロジェクトは、リスクを効果的に軽減できる。例えば、全てにパッチを適用することができないケースにおいても、アセスメントの実施によって、リスク管理の活動に優先順位を付けることができる。
自動化(オートメーション)もセキュリティの仕事を変えた。アダプティブセキュリティ(予測、防御、検知、対応)の考え方そのものは不変だが、自動化によって進化を遂げている。例えば、セキュリティ運用を自動化する「SOAR」(セキュリティオーケストレーション、自動化と対応)がある。