調査

国内企業のDXへの取り組み、効果を実感していない企業も--IDC調査

NO BUDGET

2019-09-05 06:00

 IDC Japanは、国内企業を対象としたデジタルトランスフォーメーション(DX)の動向調査結果を発表した。これによると、国内企業のDXへの取り組みは、より現実的な目標、業務上の課題解決に向けたものとなっている一方で、その効果を実感していない企業も多いことが分かった。

国内企業におけるDX推進の「優先事項」(複数回答、n=150、出典:IDC Japan)
国内企業におけるDX推進の「優先事項」(複数回答、n=150、出典:IDC Japan)

 この調査は、2019年7月に、DXに取り組んでいる150社を対象に実施された。2018年に引き続き行われたもので、国内企業におけるDXとビジネスとの連携、推進上の課題、DX実現のIT基盤などを幅広く調査している。

 DXの売上/利益に対するインパクトを聞いた質問では、「現時点ではDXによる売上/利益増加の効果は見えていない」とした回答が最も多く、37.3%に上った。これに「財務的なインパクトを測定していない」とした割合を合わせると、実に半数の企業でDXが実際のビジネスへの効果を見ることができていないということになる。

 DX推進の際の優先事項/目的を聞いた結果では、製品/サービス開発業務の卓越性、人材の卓越性などが上位に挙がった。2018年の調査では、データの資本化/収益化が1位だったが、国内企業のDXはより現実的な、目の前にある課題解決に向けた目標に移行しているものとIDCでは見ている。

 また、DX戦略はビジネスの戦略と強く結びついた長期的なものであるとした回答が43.4%と半分を下回り、DX戦略とビジネス戦略の間に乖離がある企業がまだ多いという結果となった。これは、2018年の同様の質問結果とほぼ同等の結果だ。

 さらにDXの課題として、DXのプロジェクトが社内でバラバラに行われていたり、複数のDXシステム間の連携がなかったりといったことが挙げられており、「DX戦略とビジネス戦略との乖離」とも合わせて考えると、DXが全体最適の下行われておらず、結果として財務上の結果に結びついていないという国内企業の姿が想像される。

 IDCではこれらの結果を基に、DXシステムと既存の情報システムとの連携が弱い企業も多いと推察している。また経済産業省が「DXレポート」の中で警鐘を鳴らした「2025年の崖」の危険性が多くの企業で存在しているとしている。

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